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「部落解放基本法」制定要求国民運動中央実行委員会の第9回総会が、七月二十三日東京・松本記念会館でひらかれた。一九九七年の第8回総会いらい五年ぶりの総会であり、「基本法」制定運動十七年の歴史的転機を画す総会となった。
総会では、「部落解放基本法」制定要求国民運動から「部落解放・人権政策確立」要求運動への発展的改称をおこない、つぎの「五つの活動の柱」を中心にしたとりくみへと発展させていくことが確認された。
①日本を真に人権立国にしていくための法律や行政機構の整備②「国際人権規約」や「人種差別撤廃条約」などの具体化と完全批准③「同和」行政の成果をふまえた人権行政の創造④「同和」教育の成果をふまえた人権教育の創造⑤人権尊重のまちづくりの実現。
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この総会の意義は、たんに中央実行委員会の名称変更をおこなったということにとどまるものではなく、「基本法」制定運動十七年間のとりくみの総括の上に立って、その到達点を明確にするとともに今後の新たなとりくみの方向を大胆に提起したことである。
すなわち、われわれは、「部落解放基本法」でめざしてきた内容(五つの構成部分)が現在個個に実現しつつあるという成果をふまえつつ、同時に部落問題解決でとりくんできたその結果が、日本での人権の法律や制度・機構を大きく変えつつあるという現状認識に立っている。この状況をいっそう確かなものに仕上げていくために、今後あくまでも部落問題解決ということを軸にして、「部落解放基本法」要求でめざしてきた全内容を着実に実現しながら、その延長線上に広がりをもった人権政策の確立を展望していこうとするものである。
この方向性を組織的な形態として明確にしていくために、名称変更を断行したということである。まさに、「名は体を表す」である。ちなみに、日本のすべての人の人権確立をめざす、国内外人協働のとりくみの観点から「国民運動」の文言もはずしたことにも注意を喚起しておきたい。
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大切なことは、組織の名称変更が、けっして「部落解放基本法」要求の旗を降ろすものではないということであり、同時にそれは「部落解放基本法」そのものの制定を求めることも今日的時点では現実的ではないということである。このことを明確に認識しながら、ただちに各地域実行委員会での組織名の「発展的改称」の論議を徹底的におこない、「基本法」制定運動の発展形態としての「人権政策」確立運動をおしすすめる体制と意識づくりを早急に確立していく必要がある。
当面の緊急課題として、継続審議となった「人権擁護法案」について、抜本修正を求める「請願署名」運動を各地域実行委員会で展開し、十月初頭前後に開会予定の次期国会までに、地元選出国会議員、首長、地方議員、人権擁護委員、著名人、各種団体などから「抜本修正」の声を政府・国会に集中させよう。
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