署名活動を強化し「人権擁護法
案」の抜本修正をかちとろう
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第百五十四通常国会に提案された「人権擁護法案」は、参議院先議ということで参議院法務委員会に審議付託されたが、実質審議を一度もおこなうことなく次期国会への継続審議となっている。次期国会は、十月開会といわれる秋の臨時国会ということになるが、どのようなかたちで「人権擁護法案」が審議されていくのか予断を許さない状況である。
通常国会終了間際(七月下旬)に、与党三党は法案修正に応じることを合意したといわれ、八月中旬の一部の新聞記事では、与党三党が「報道被害」条項を凍結する修正を検討しているといわれている。しかし、「人権擁護法案」の抜本修正の要諦はこれにとどまるものではないし、とどめてはならない。臨時国会に向けて、早急に「人権擁護法案」の抜本修正の内容をより具体化し、その実現に向けて強力なとりくみを展開していくことが求められている。
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現行の「人権擁護法案」にたいする抜本修正の要諦は、部落差別をはじめとする具体的な差別・虐待・人権侵害などを禁止し、それらによる被害を救済するために創設される人権委員会が、政府機関からの「独立性」を確保しているかどうかであり、同時に「実効性ある機能」を備えているかどうかということである。
これらの点を具体的にいうならば、「独立性」の問題にかかわっては、人権委員会を法務省の外局から内閣府の外局に位置づけ直し、政府機関から独立して総合的な機能を発揮できるようにすべきである。同時に、所管問題だけではなく、実質的な独立性を確保するためには「所掌事務」「職権行使の独立性」「事務局」などの項目にかかわってもパリ原則(一九九三年に日本政府も賛成し国連総会で採択)をふまえた内容に修正していく必要がある。
また、「実効性ある機能」の問題にかかわっては、国だけではなく都道府県・政令市レベルでも、地方人権委員会を設置することが重要である。差別・虐待・人権侵害が、日常的な生活圏域で発生することを考えれば、これらの事態に迅速に簡便に安心して対応できる地方人権委員会の設置は不可欠であり、今日的な地方分権の流れからしても重要である。
さらに機能面での実効性を確保するためにも「人権の定義」「禁止行為の範囲」「委員会組織」「人権擁護委員」などの項目にかかわって従来の制度や考え方にとらわれない新たな仕組みに修正していくことである。
さらに、メディア規制にかかわる条項は、「人権擁護法案」とは本来無縁のものであり、削除修正は当然である。
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次期国会の開会までに残された時間は、多くない。「人権擁護法案の抜本修正を求める」広範な署名活動を強力にとりくみ、地方からの切実な声を政府・国会に集中していくことが決定的に現在、重要課題である。
このとりくみを背景に、与野党への働きかけを徹底的におこない、臨時国会での真に独立性・実効性をもった「人権擁護法」の成立をかちとっていく体制を周到に準備していかなければならない。まさに、歴史の歯車を逆戻りさせることなく、日本での差別撤廃のとりくみや国際的な人権潮流をふまえた「人権擁護法」を成立させていくことが求められているのである。
こうしたとりくみを推進するためにも、九月上旬発行予定の中央実行委員会のパンフレット『人権擁護法案・抜本修正への提案』(定価千二百円)を購入し、学習会、署名活動などに積極的に活用していこう。
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