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全研の成功へ各地で実践
や理論をふかめていこう

 十月十七日から三日間、部落解放研究第36回全国集会が鹿児島県でひらかれる。今回の全国集会は「法」失効後、初めてひらかれる研究集会であり、今後の部落解放運動や「同和」行政の方向を論議する重要な集会である。
 日本社会は長期的な不況とともに、構造的な大変革の時代に入っており、政治・経済・社会が大きく変化し、部落解放運動や「同和」行政にも大きな影響を与えている。
 それに加えて部落問題をとりまく分野では、一九六九年からつづいた「特別措置法」時代の「同和」行政から、「特別措置法」がない「同和」行政の時代を迎えるとともに、「人権擁護法案」の抜本的修正に向けて、きわめて重要な時期を迎えている。二重の意味で大変革が迫ってきているのである。
 このような時代だからこそ部落解放運動にも、時代のスピードに翻弄されない原則性と、逆に時代を先取りし、時代を創造していく先見性の両方が求められているのである。

 第36回全国集会はこのような情勢のなかでひらかれる集会であり、改めて部落解放運動の原則を確認するとともに、今日の部落問題をとりまく状況を直視し、変革の時代の部落解放運動や「同和」行政をどのように創造していくのかを論議し深める場である。
 本研究集会のもっとも重要な意義は、創造の前提である今日の部落差別の状況を正確に捉えることである。
 正しい方針は、正しい現実把握から与えられる。現実を直視するというのは、変化している「あるがまま」の現実を見つめているかということであり、こうあるはずといった見方で現実を見ていては現実の社会を正確に捉えることもできない。
 さらに、変革の時代は教条的なやり方では通用しない。教条的なやり方は状況の変化が起こっても考えなくてすむという便利さがあるが、問題はそうした手法を長くつづけてきた結果、本当に変えなくてはならない状況が起こっても、考えることも、新しい構想に着手することもできなくなってしまうことである。そうした状況を打開するためにも各地の実践や理論の積み重ねを深め、本集会を時代の前照灯にする必要がある。

 本集会では初日の全体集会で、中央本部の人権政策検討委員会の三つの部会「新同和行政推進施策」「人権の法制度・政策」「人権のまちづくり運動」部会からそれぞれ中間報告がおこなわれる。集会には同盟員だけではなく、行政や企業、宗教者、労働組合、マスコミ関係者など、各界の人びとが参加しており、二日日の分科会で、それらの中間報告にたいする多様な論議を深め、これからの「同和」行政や運動の方向を指し示す必要がある。
 たとえば、「同和」行政の分野でも特別措置の時代が長くつづいたことによって、私たちの側にも「同和」行政といえば、特別措置のことを指すのだと考える人びとが多くなってしまった。行政機関で働く多くの職員のなかには、特別措置だけが「同和」行政であると考えている職員が少なからずいる。
 このように考える人びとは、「同和」行政にかかわる「法」が期限切れを迎えると「同和」行政も終結すると考えている。これは大きな間違いである。
 「法」が期限切れを迎えるということは、特別措置が原則としてなくなるということだけであり、特別措置としての「同和一行政が終わるだけであって、一般施策を活用し、改革し、創設するなかで「同和」行政を展開することは、これからの重要課題である。
 しかし、これまでの「同和」行政が特別措置を中心とする「同和」行政であったことによって、一般施策を活用、改革、創設した「同和」行政とはどのようなものなのかということを明確に示す必要がある。
 部落解放運動をとりまくあらゆる分野で、そうした点を明らかにするのが本集会の役割である。そのためにも各地の実践と理論をさらに深め、全国研究集会の成功につなげていこう。


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