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基本法改悪許すな
日教組とともに集会で
「解放新聞」(2002.11.04-2093)

 中央教育審議会が最終答申でおこなおうとしている。「教育基本法の改悪をゆるさない」を合言葉に、十月二十二日午後、日比谷公会堂で「教育基本法改悪反対中央集会」がひらかれた。
 主催は、日教組や部落解放同盟などの集会実行委。集会には、全国から二千人、が参加、特別報告や市民団体、個人からのアピールがつづき、国家主義的な教育の反動化への危機を訴えた。
 政府は、二〇〇〇年にだされた教育改革国民会議からの最終答申を受けて、二〇〇一年十一月、文部科学省の中央教育審議会(中教審)に「新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について」を諮問、九月に「中間報告の構成」がだされ、年内にも最終報告が答申される状況にある。
 憲法改正の先駆けとされ、感性の豊かさや人権の重視ではなく道徳、天皇賛美に直結する宗教(神道)教育と伝統の重視、世界の平和ではなく愛国心と軍事優先の国家をめざし、新たな公共性の名のもとにすすんで身を犠牲にする強制的なボランティア(奉仕)活動がその内容となっている。
 日教組の榊原長一・委員長は、政府が狙っている教育基本法改正は、教育振興基本計画を位置、づけさせることによって、教育のすべての面と人間の精神活動である文化芸術活動まで国家が統制管理することができるようにするもの。教育の中立や内心の自由への挑戦である。教育の不当な支配の排除という民主主義の根本原理を破壊、否定するものである。強引な見直しは政治的意図があるからに他ならなず、ナショナリズムとエリートの育成にあると批判、また、下位法の蓄積で最高法規である憲法をさらに形骸化させることを教育の分野でやっていこうとするものだと批判した。
 特別報告をおこなった嶺井正也・教育総合研究所副代表は、今回の教育基本法改悪は、「戦後政治の総決算」をうたった、八七年八月の「臨時教育審議会答申(臨教審)の総決算の段階に入った。今回の中教審論議は、手つづきと中身に問題があり、小渕首相の私的諮問機関の論議を公的な中教審が引き受けるという手法をとった。教育の根幹を国家が掌提する体制の確立であり、憲法改悪への地ならしだ」と批判。
 今後のためには、法案化を許さないとりくみが必要であり、国際的な人権保障、人権諸条約の流れを受けた「子どもの権利条約」や教育基本法の精神をもとにネットワークをつくることが大事だ。また、教育勅語と教育基本法を並べて読んでみるとなにが教育の主体となっているかわかる。比較と実践が必要だ、と訴えた。
 このほか、各界からの発言として、小児科医である毛利子来さんや不登校児のためのセンターを運営する奥地圭子さんが経験から発言した。教育基本法教育の理念の具体化を怠り形骸化させて来た責任がない。子どもたちは疲れている。さらに分断され、いき場をなくしていく子どもが増えていくだろう。親や教師の分断もすすむなど、国家本意の教育改悪には反対だと訴えた。
 集会の最後には、いまこそ教育基本法の理念を生かすときとのアピールを採択した。


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