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抜本修正求め国会論戦
参院法務委で各党が政府ただす
「パリ原則」ふまえ人権委の
独立性や実効性の確保必要

「解放新聞」(2002.11.18-2095)

 参議院法務委員会で、各党が質問した。人権擁護法案について答弁をした森山真弓・法務大臣、吉戒修一・人権擁護局長らは、「最善の法案」を強調。人権委員会の独立性については「国家行政組織法案三条にもとづく組織であり、最大限の独立性が確保されている」とのべ、若干の修正を表明したものの本質的なところは旧態依然のままであり、国際人権基準から大きく逸脱したままだ。
 この日の法務委員会は、午前中に中川義雄(自民)、江田五月(民主)の委員が質問。午後からは浜四津敏子(公明)、平野貞夫(自由)、福島瑞穂(社民)などの各委員が質問した。
 江田委員は、この法案の経緯や政府が同法案にたいして「同和」問題の解決に寄与するものと認識しているかを質した。森山法務大臣は「長いあいだ多くの人の知恵を借りてつくったもので最善と考えて提出した」とのべ、「同和問題の解決に寄与するものと考えている」とのべた。
 また、刑務所での人権侵害の例をあげて、「入管や矯正を所管する法務省が同時に人権救済することはできない。独立性ある委員会が必要だ」との質問にたいして吉戒局長は「拘禁施設を所管する矯正、入管部門と人権委員会事務局との人事交流はしない」とのべた。しかし、所管が法務省であるということの問題性には答えなかった。
 福島委員は、人権委員会の国際人権基準(パリ原則)を定めた国連人権委員会の懸念事項やバーデキンさんの来日という事態や、韓国の人権委員会が政府から独立している点について質問した。
 吉戒局長は、国連人権委が懸念表明したこと自体が問題の核心であるにもかかわらず、「パリ原則は、法務省の外局ではいけないとはいっていない」「来日したバーデキンさんと会ったが反対表明はされなかった」などと答弁。韓国人権委員会の設立経緯については、「日本は日本だ」といわんばかりの答弁に終始した。

NGOネットワークや アムネステイも声明
3点示し実質審理を求める

 国際人権NGOネットワーク加盟十二団体(IMADR・JC他) は六日、「人権擁護法案」に懸念を表明するとの共同声明を発した。とくに三点の実質的審理を求めている。
 ①救済される「人権」の定義の明示と「差別禁止法」の制定②人権委員会は法務省の外局ではなく、内閣府の外局として設置し、「独立性」を確保する③人権委員会の委員および人権擁護委員や事務局員の構成での多元性の確保。
 なお、国際的人権団体である「アムネステイ・インターナショナル日本」は七日、「人権擁護法案」について懸念を表明した声明を発表した。「真に実効性のある国内人権機関の設置を」と題したもので、国際社会から要請されている国内人権機関として機能しない可能性が高いと批判している。

 


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