臨時国会での人権擁護法案の
抜本傾正に全力をあげよう
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第百五十五臨時国会が十月十八日からひらかれている。会期は、十二月十三日までの五十三日間の予定である。今臨時国会は、先の通常国会で継続審議となった「人権擁護法案」の抜本修正に向けた闘いを中心に、実効ある人権救済制度の実現をめざす重要な国会である。
わが同盟は、部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会に結集する多くの団体とともに、「人権擁護法案」抜本修正要求第3次アピール行動にとりくみ、今臨時国会での闘いの基本方向を確認するとともに、中央集会と国会請願デモ、情宣活動を展開した。また、大阪府、奈良県、香川県、鳥取県、佐賀県、福岡県などの知事をはじめ、市町村首長、国会議員、自治体議員や宗教団体、企業、労働組合などの代表による抜本修正を求める一万七千通をこえる署名も提出した。
こうしたとりくみをふまえながら、中央集会の基調でも明らかにしたように、人権委員会を設置するためのこの法案は、「部落解放基本法」制定要求運動の十七年間のとりくみの成果であることをしっかりと確認し、そのために、現行法案の欠陥、問題点を抜本修正させ、真に実効ある人権救済制度を実現させていくことに全力をあげなければならない。
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「人権擁護法案」は、先の通常国会で参議院先議のあつかいで継続審議となったが、七日の参議院法務委員会で実質審議入りとなった。与野党法務委員の質疑では、人権委員会の独立性、実効性への疑念や、マスメディア規制などに批判が集中した。とくに、名古屋刑務所での刑務官による暴行事件や入管職員が起こす人権侵害の実態が明らかにされ、法務省の外局にすることで、公権力による人権救済への実効性がなく、さらに法務省職員の横滑りや予算策定の問題、地方組織を置かないことで、生活圏で生起する人権侵害にまったく対応できないことも指摘された。そして、なによりもこれまでの法務省や人権擁護委員による人権擁護行政の実態では、市民に信頼される人権委員会にならず、新しい制度のもとで、人権委員会を発足させるべきであると、現行法案の抜本修正を求める質疑が続いた。
法務省は、マスメディア規制では、当面凍結することや、将来的には、法案そのものを見直すことなどの報道もあるが、われわれが指摘している人権委員会の独立性、実効性を確保する手だてについては、いっさいの法案修正に応じず、森山法務大臣の答弁のように「最善の法案」というように、なにがなんでも法案成立をめざす強引な姿勢を示している。
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われわれは、これまでも実効ある人権救済制度の必要性を訴えてきた。しかも、これまでの法務省による人権擁護行政では、国際的にもその不十分性、不備が強く指摘されてきたところであり、人権擁護委員制度の改革とともに、人権擁護推進審議会でも同様の答申が出されているのである。
しかし、法務省はこれまでのみずからの人権擁護行政の不備を居直り、法務省外局として人権委員会を位置付け、中央人権委員会のみを設置するなど、明らかに省益を優先させた制度の実現に固執している。
実効性、独立性に大きな疑念のある現行法案では、なんら実効ある人権救済が期待できないのは明らかである。韓国人権委員会の取り扱う人権侵害の八割は、公権力による人権侵害事例であるとの報告もある。まさに人権委員会の独立性が求められているのである。
さらに、人権委員会は、多くの人権侵害をあつかうことになり、何よりも市民からの信頼を受ける正義性も必要になってくる。政府実能義査でも、法務省関係機関に相談したのは、わずか〇・六パーセントである。こうした観点からも、法務省の外局である人権委員会が横能しないことは明白である。
参議院法務委員会で審議入りした「人権擁護法案」の抜本修正に向けて、こうした問題点を厳しく指摘しながら、与野党国会議員への働きかけを中心にした国会内外の闘いを結合させ、部落解放・人権政策確立の闘いとして、真に実効ある人権救済制度の実現をかちとるため全力をあげて今臨時国会を闘い抜こう。
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