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過去の過ちをみすえ
浄土宗が差別戒名の法要
「解放新聞」(2002.12.16-2099)

 浄土宗による差別戒名物故者追善法要が十一月二十六日午後、神奈川県鎌倉市の大本山光明寺でおこなわれた。浄土宗では、差別戒名は仏教界における差別事件として、いまなお大きな課題としており、差別戒名、差別戒名墓石の改正を最重要事項と位置づけてとりくみをすすめてきた。今回の追善法要は、七つある大本山が順次とりくんで七回目のものとなる。
 光明寺本堂でおこなわれた法要は、全国から関係僧侶ら二百人が参列し、光明寺の宮林昭彦・法主が導師を勤め、水谷幸正・宗務総長、熊谷靖彦・宗議会議長が脇導師を勤めた。この法要には、部落解放同盟から組坂委員長、和田中執ほか、地元の神奈川県連や関係府県から二十三人が参列した。
 法要のなかで、水谷幸正宗務総長が「追悼の言葉」をのべ、「差別戒名をふされた諸精霊にたいし、浄土宗を代表し哀悼の意を表します。私たち浄土宗僧侶は、宗祖の万人救済に立ち返り部落差別をはじめとするあらゆる差別を見逃さない心を培い、差別を『しない・させない・許さない』を指針とし、平等化他行を実践していくことを誓う」とのべた。
 また、宮林法主も参列者にむかって、「つつしんで哀悼の表明をします。死んでまでも苦しみを与えたことにたいして、僧侶一人ひとりが深くあやまりを反省しなければならない」とのべ、「心に仏をつくることが求められており、念仏を唱えることが仏と心が一体になることだ。差別のない社会を願っている」とのべた。
 法要終了後に、主催者を代表して水谷幸正宗務総長のあいさつにつづき、来ひん代表としてあいさつした組坂委員長は、「生きて人間あつかいをされず、死んで差別戒名をつけられ苦しい思いを私たちの先祖はしてきた。いま、浄土宗が過去の過ちをみすえ、過ちを繰りかえさない為の宗門のとりくみに感謝したい」とし、差別撤廃に向けた宗教者の働きに期待したいとのべた。
 ひきつづき、部落解放同盟との意見交換会がおこなわれたほか、法要に先だち、曹洞宗人権擁護推進本部の深沢信善・事務局長が「曹洞宗の差別戒名改正のとりくみについて」を講演した。


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