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3つの基本方針を学習し、
日常的とりくみに生かそう
「解放新聞」(2003.06.09-2123)

 

 5月に東京で開催された第60回全国大会で、昨年来検討されてきた人権政策検討委員会の「3部会報告」が今後の基本方針として決定された。それは、すなわち、「新同和行政推進施策基本方針」「人権の法制度確立基本方針」「人権のまちづくり運動推進基本方針」である。
 これらの方針に示された部落解放運動の新たな基本方向を受けて、各地域で特色をもった独自性を生かした具体化・実践を期待したい。
 3つの基本方針は、それぞれ独自課題にもとづいたものであるが、同時に今後の部落解放運動を創造していく上で共通した方向も提案されている。

 まず第1の共通点は、人権社会建設という崇高な目標を3つの基本方針は掲げてはいるが、その前提は「部落差別の現実から出発」することを求めている点である。新同和行政推進施策基本方針では、そのことを「部落差別の実態に立脚し部落差別の撤廃を見据えた、自治体における同和行政の一層の発展を求め」ると提案しており、部落差別の存在が同和行政の出発点であると強調している。
 「人権のまちづくり運動推進基本方針」では、そのことをさらに発展的に捉え、「部落の地域内でかかえる諸困難・諸矛盾は、現実には地域外にも存在する問題であり、『人間らしく生きる』権利の侵害として多くの共通性をもった課題なのです」と明記している。つまり、いっさいの根本は、部落に現れる差別の実態を把捉するところからスタートすべき問題であると主張している。
 第2の共通点は、「自立・参加・責任」を基本に、「市民参加」をキーワードにした部落解放運動の実践を求めている点である。「『差別のないまちにしていこう。そのためには、こんな制度や、基金、何なら自分たちでつくりだそう』と言った、いわば『発見』から『人権のまちづくり』がはじまるという発想で取り組んでいこうということです(新同和行政推進施策基本方針)」との指摘は、部落の実態から写し出された要求を広く地域の要求としてとりあげ、人権のまちづくりへと発展させるべきと強調している。
 「人と人のつながりや、市民と行政とのパートナーシップ型まちづくりが人権や環境を整える上で、いかに大切であるかを痛感されます。今後、公的な社会保障の整備とともに地域においてNGOやNPOによって諸困難を抱えている人びとを支えていく必要があります(人権の法制度確立基本方針)」と指摘し、「人権の法制度」を確立させる上でも、差別撤廃・人権確立をめざす市民的役割を評価し、積極的な支援をおこなうとともに、ネットワークを構築することが重要であると明記されている。
 「人権のまちづくりあ基本方針でも、「『行政任せ』『行政主導』ではなく、『住民参加』『住民主導』の運動展開をすることです。同時に、それを可能にしていく行政と住民のパートナーシップにもとづく種々の『シクミ』づくりを推進することです」と明記されており、市民参加で「人権のまちづくり」を推進していくことを求めている。

 これからの部落解放運動の重要な視点は、部落を中心とした小学校区や中学校区、さらには周辺市民を対象に「豊かな人間関係をどうつくりあげるか」が重要なテーマであり、そういう意味では、広いフィールドでの部落解放運動の実践が期待されている。生まれ育ったこのまちを「人に優しくなれる環境」つくりへ、どう築きあげていくか。それこそ「ムラ自慢」「支部自慢」の運動の実践が期待されている。部落差別の撤廃と人権確立社会をめざした新たな地域自慢の部落解放運動の展開が、3つの基本方針の具体化にほかならない。さらなる奮闘を訴える。


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