京都での全高集会を
地域からとりくもう
「解放新聞」(2003.07.21-2129)
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部落解放第35回全国高校生集会(全高)を7月26~28日、京都市・大谷ホールでひらく。今夏の全高の開催地となる地元京都府連では、実行委員会に集まる高校生たちが自分たちの思いをどのように全国の仲間に伝えるかと、熱のこもった論議を繰り返し、開催が迫る京都全高の成功に向けて準備に余念がないという。集会での彼ら彼女らの活躍に大いに期待するとともに、全国から熱いエールを送ろうではないか。
この全高は、部落差別をはじめあらゆる差別を許さず、すべての人の人権が保障された社会、だれもがありのままでいることが認められる社会の構築をめざそうと、志を同じくする全国の仲間が集う場である。
全高では、自分自身の思いをのべることになんら躊躇したり、構えたり、飾る必要もない。これまでも全高では、普段は自分の気持ちを押しとどめているであろう者が、肩を震わせ、涙しながら自分の思いを伝え、そして晴ばれしい姿で帰っていく場面を何度も繰り返してきた。
ぜひとも、今年の京都全高でも、一人でも多くの高校生が自分の思いを伝え、仲間の声に耳を傾け、議論と交流を深めてもらいたい。参加するすべての高校生一人ひとりにとって、有意義な場となることを心より願いたい。
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いま日本は、アメリカの後を追うように、戦争への道を着ちゃくとすすみつつある。多くの国民の反対の声があるにもかかわらず、こうした声を一切無視し、「有事関連法」をはじめ戦争に参加するための法律を矢継ぎ早に制定している。
国家の一大事のためには、一人ひとりの基本的人権など制限されるのは当然だという論理である。あらゆる差別の撤廃とすべての人の人権が保障される社会をめざす私たちにとって、こうした動きと考え方こそ、有事であるととらえる必要がある。
今年、イラク戦争がはじまる直前、アメリカの反戦集会で平和と人権を訴えた女子中学生が先生から無視されるなど周囲からなかば「非国民」あつかいをされるという事能が起きた。ひるがえって日本はどうだろうか。教育の分野に目を向けると、国にとって都合のよい人間を育てることを目的に「教育基本法」を改悪しようとする動きがすすめられている。国を愛せない者、国の決定に従わず、協力しない者は「非国民」とされるかもしれないのである。
また、今年の3月、文部科学省が、朝鮮学校をはじめ民族学校の卒業生に大学受験資格を与えないという、制度としてあらたな「差別」を作り出す方針を明らかにしたとき、当事者の反対の声をよそに、多くの日本人の反応はどうであっただろうか。さすがにその後、民族差別であるとの多くの批判が寄せられた。現在、その取り扱いについては検討中とされているが、明らかな差別であるにもかかわらず、方針の撤回ではなく、再検討なのである。
部落差別も例外ではない。インターネット上では、部落差別を助長したり、部落解放運動を誹諌・中傷する心ない書きこみが少なからず見受けられるのである。
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こうした社会状況を許さず、打破していくためにも、部落解放をめざす高校生一人ひとりが、差別の撤廃に向けて自分の考えと思いを明らかにし、差別を許さず、人権を守るというごくあたりまえのことが、あたりまえとなる社会の構築に向けて行動を起こしていこう。
参加する高校年一人ひとりが、それぞれの思いを京都にもちより仲間に伝え、そしてそれぞれが「佳き日」をめざす新たなスタートの場としようではないか。
高校生が、一人でも多くの仲間に出会い、思いを伝えられるように、各都府県連・支部からの積極的な参加を期待する。
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