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京都での全国識字経験
交流集会を成功させよう
「解放新聞」(2003.08.25-2133)

 

 国連は、90年を「国際識字年」と宣言するとともに、その後の10年を「国際識字の10年」と定め、とりくみをすすめてきた。
 しかし、いまなお、世界で非識字者が多く存在するなか、国連は01年の第56会期の総会で新たに、03年から12年を「国連識字の10年」と決議し、「すべての人びとに教育を」を目標として、非識字者をなくしていくための行動をよびかけている。この「国連識字の10年」を広く宣伝するとともに、国際識字年中央実行委員会の活動を強化し、国内外の識字運動との交流をすすめていこう。

 日本の識字運動は、60年代前半に福岡県から始まり、部落解放運動の発展とともに60年代後半には各地でとりくみがすすめられるようになった。部落差別により教育が十分に保障されなかったことにたいして、学ぶ権利を獲得するための識字運動が、部落解放運動の原点としてとりくまれてきた。読み書きができないことは、就職や日常生活でもさまざまな問題が生じる。みずからの生い立ちや部落差別の怒りを表現したり、多くの人に伝えるためにも、識字のとりくみは重要である。
 さらに90年の国際識字年を機会に、被差別部落の識字運動は世界の識字運動と交流をすすめ、とくに、アジア各地の識字運動との交流や支援活動をすすめてきた。日本国内でも、「国際識字年推進連絡会」が各地につくられ、夜間中学や日本語学習などとのネットワークを広げている。参加者も在日韓国・朝鮮人や外国人労働者など多様化し、多文化共生の場として識字運動が新たな役割を担っている。

 02年に策定された「国連識字の10年の起草提案と計画」では、非識字状態の青年と成人がおよそ8億8000万人、未就学の子ども
が1億1300万人おり、成人非識字者の3分の2、未就学の子どもの60%が女性であり、もっとも深刻な問題を抱えている地域はアジアに集中しており、貧困とともに、文字が書けない、読めないために、犯罪者に仕立てられてしまうケースがある。
 識字運動は、非識字者の暮らしや考え方、生き方を引き出すことにより、講師(パートナー)と学習者がともに学ぶとりくみである。文字を学ぶことは、言葉をとおして人間を豊かにし、みずからを解放する営みである。そして、「国連人権教育の10年」国内行動計画と関連させ、たんに文字の習得だけでなく、さまざまな差別を撤廃していく力をつけるとともに、日常的・職業的に必要なさまざまな基礎知識や技術の取得も含めて発展させていくことが重要である。
 また、日本語を話せない、書けない外国人にたいして、日本語を押し付けるのではなく相手の言葉や文化を尊重し、日本語を第2の言語として学べるように展開していかなければならない。
 「国連識字の10年」として新たに決議された節目の年に京都でひらかれる第10回全国識字経験交流集会(9月19、20日)を成功させ、識字運動を強化しょう。


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