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神戸全研成功へ各地で
改革論議積み重ねよう
「解放新聞」(2003.09.15-2136)

 

 10月3日から三日間、部落解放研究第37回全国集会を兵庫県の神戸市内でひらく。今回の全国集会は「法」失効後、2年目を迎える研究集会であり、「法」失効後の同和行政がどのように展開されてきたかを検証し、今後の同和行政・人権行政の方向を論議する重要な研究集会である。
 また、「法」失効後の部落解放運動の1年を総括し、人権時代をリードする部落解放運動を再構築する絶好の機会である。全国各地では「法」失効という危機を好機にするためにさまざまなとりくみがなされ、数多くの実績をあげている。それらのとりくみをさらに発展させる研究集会にしなければならない。

 昨年の研究集会で、部落解放同盟中央本部の人権政策検討委員会の3つの部会である「新同和行政推進施策」「人権の法制度・政策」「人権のまちづくり運動」部会からそれぞれ中間報告がなされ、論議が深められた。本研究集会は昨年の論議をふまえ、具体的政策に発展させるとともに、人権擁護法案の問題点をより鮮明にし、実効性、独立性を確保した人権救済制度のあり方をより鮮明にする場でもある。さらに、本研究集会は、昨年にひきつづき部落問題にかかわるあらゆる分野で「改革」の必要性と方向性を明確にする機会でもある。
 変革の時代といわれる今日、多くの組織・制度・システムも大きな節目の時を迎えており、外部環境が急速に変化し、変化に対応できなければどのような組織も衰退していく現実を直視しなければならない時代である。
 急速な環境変化のなかを生き残るためには新しいビジョンと新しい戦略・方針が必要であり、これまでのやり方でやれば、そのうちうまくいくようになるといった考え方で組織・システムを運営することは許されない。
 現在、私たちがもっとも警戒すべきことは、これまでに成功した方針をそのまま推しすすめていけば、これからも発展できるという発想である。
 変革のスピードは急速であり、そのスピードに遅れることなく、改革を実行していく必要があり、その改革の方向を本集会の活発な論議を通じて明確にしていく必要がある。
 改革の成否は、部落解放にとりくむあらゆる分野の人びとのエネルギーや創造力をいかに引き出すかにかかっている。そのような人びとが改革への夢をもち、夢の実現に向けて果敢に挑戦できるような方向を明確にすることが重要なのである。

 国際情勢の激変とともに国内環境も大きく変化している。政権のめまぐるしい変化の底流で、確実に社会全体の変化の潮流は大きくなってきている。それらの社会的変化とともに部落解放運動の内部も大きな転換点に立っている。
 被差別部落の実能革部落大衆の生活の大きな変化、部落出身者のアイデンティティの変化、部落をとりまく周辺地域や市民意識の変化は、従来の同和行政や部落解放運動に大きな転換・改革を求めている。それらの潮流を明確にキャッチした運動であるためには何が求められているのかということを本集会において明らかにしていく必要がある。
 いつの時代にあっても成果がある局面が、ある時点で欠陥に転換する面があることを忘れてはならない。環境が大きく変化するなかで、これまでの組織やシステム、理論が時代遅れになり、社会発展や組織の目標達成にとって大きな障害になっている場合も少なからず存在する。現実の新しい展開にたいして、既存の理論を教条的に適用し、間違った方針でことをすすめようとして、より、いっそう事態を困難にしていることもある。
 変わるべきは理論に合わない現実ではなく、変化する現実をふまえた理論なのであり、方針や政策なのである。そうした理論や方針、政策を創造するためにも各地の現実をふまえた論議を積みあげ、部落解放研究第37回全国集会に結実させよう。


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