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部落解放・人権政策確立要求中央集会
「解放新聞」(2003.10.13-2140)

 

部落解放・人権政策確立要求中央集会を9月30日午前、東京・星陵会館でひらいた。基調の要約を掲載する。解散・総選挙で廃案になっても、つぎの足場を固め、「救済法」制定をめざすことを意志統一した。


基 調


事務局長  松岡 徹

「人権擁護法案」が自然廃案に
新たな国会へ4課題に全力で

 現在の第157臨時国会はいよいよ解散されて、「人権擁護法案」は自然廃案になる残念な状況だ。しかし、つぎの国会で救済法を制定させるためにも、今後のたたかいはきわめて大事だ。
 これまでの3回の国会、1年半にわたるたたかいでは、当初「人権擁護法案」の原案成立を強固に主張していた政府・与党のかたくなな姿勢を突き動かし、「『人権擁護法案』は必要で大事な法案」であり「原案には問題があり、修正の必要がある」との合意をかちとり、今日の与野党協議のテーブル設定という事態にまですすめてきた。到達点をふまえ、ぜひとも日本には人権救済法が必要だという与野党の合意、機運を、選挙後の新たな国会で実現させるためにもたたかいをすすめよう。
 私たちがなぜ「あくまでも『人権擁護法案』の抜本修正」を求めてきたのかを再度この時点で確認しておこう。
 まず第一に、「人権擁護法案」提案の背景には1985年いらいの「部落解放基本法」制定要求運動のねばり強いたたかいがある。
この運動が、「人種差別撤廃条約」加入、「人権教育10年」のとりくみの具体化、「人権教育・啓発推進法」制定をかちとってきた。「人権擁護法案」も、「基本法」でめざした内容を具体化させるとりくみの一環として、01年に「人権擁護推進審議会」が答申した「人権救済制度のあり方について」と「人権擁護委員制度の改革に関する論点項目について」にもとづいて提案されたことは疑う余地のない事実だ。
 第二の背景には、国連人権諸機関から「人権委員会」の早期創設に関して日本政府に数次にわたって勧告がされてきた。すなわち1988年に国連自由権規約委員会が国内人権機関の設置を強く勧告したことをはじめ、01年には人種差別撤廃委員会や社会権規約委員会があいついで勧告した。また、今年7月には女性差別撤廃委員会からも同様の勧告がされている。
 このように、この法律は、部落問題の解決をはじめ、日本の国内での反差別・人権確立に責任をもつ法律であると同時に、世界に向けても責任をもった法律だ。このことをふまえ、この国会で自然廃案になったとしても、今後も人権救済の法律を成立させるたたかいへと突きすすみたい。
 自然廃案になると今度は再提案をさせるたたかいが必要になる。すぐに再提案させるような請願運動やさまざまなとりくみをしていかねばならないし、再提案の仕方もこれまでのたたかいで明らかになったことをしっかりとふまえたものにしていかねばならない。そういうことも十分頭に入れながら、今後、大きく分けてつぎの四つの課題を中心にとりくみたい。
 ①与党・野党にたいする協議促進の働きかけを強化する課題。いままでの与野党協議の合意内容の到達点を確認しながら、協議内容の前進をはかるとりくみをすすめたい。そのことは再提案させるための大きな力になる。
 ②今臨時国会開会中に、各界・地方実行委による議員への要請行動を強力に展開する課蓮。間断のない要請行動を展開することが必要。また、中央実行委の構成団体ごとや地方実行委ごとの独自の院内集会・要請行動の実施も重要だ。
 ③「地方人権委員会」創設の必要性について、地方自治体からのとりくみを強化する課題。すでに鳥取県や大阪府では、独自に地方人権委員会を立ち上げるための内部検討会がはじまっている。これらのとりくみを全国化し、人権救済機関をほんとうに実効あるものにするとりくみが必要だ。
 9月初旬から全国人権同和行政促進協議会と各ブロック別に意見交換会を順次ひらきながらとりくみをすすめているが、全都道府県でのとりくみになるように全国知事会など地方自治6団体への働きかけも追求する。また、各地方自治体へのとりくみ要請も強化したい。
 ④国会内外の共同のとりくみ体制をもう一度組み立て直し、強化する課題。各党・各国会議貞への働きかけをおこない、超党派の「人権議員連盟」(仮称)の再編へのとりくみをおこなうとともに、人権諸団体・NGOなどに働きかけて「人権委員会創設要求各界連絡会」(仮称)を立ちあげるとりくみをすすめる。また、「国連関係セミナー」などの開催準備をおこない、国際人権潮流の活用と合流へのとりくみをしたい。
 以上を当面するとりくみの柱とし、新たに設置される国会で、私たちが求める人権救済法を本当に国内に確立できるように最後までたたかいをすすめたい。
 なお、国会が解散して自然廃案となれば、「人権擁護法案」という法案の名前は使わない。私たちは当初から名前すらもおかしいといってきたのであり、廃案になると同時に救済法として、救済法制定要求のたたかいをおしすすめたい。


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