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全国女性集会の成功に向け
各地でとりくみを強めよう
「解放新聞」(2003.12.15-2149)

 

 来年1月17、18日の2日間、部落解放第49回全国女性集会を群馬県水上町で1500人規模でひらく。今回、中央女性対策部で論議
し、初めて全体集会でパネルディスカッション形式をとりいれておこなう。今後も、集会の内容や運営などについて、全国女性対策部長・女性部長会議などで出された意見をとりいれながら、さらに全国女性集会を充実させていくために中央女対部で議論していく方向である。
 今日、私たち部落解放運動をとりまく情勢は厳しい。ブッシュ米大統領は、世界的な戦争反対の声を無視して、イギリスとともに一方的にイラク攻撃を強行した。その結果、なんの罪もない子どもたちをはじめ、多くの市民が犠牲になっている。米軍をはじめ、国連機関やイタリア軍への自爆テロ、民間航空機へのミサイル攻撃などが、イラク各地で起こっている。また、最近では日本人外交官2人が殺害されるなど、イラク国内の治安は悪化し混乱している。小泉首相は、年内にも「自衛隊派遣は実行する」と、ブッシュ政権への協力を表明し、憲法改悪と「戦争のできる国」づくりを着ちゃくとすすめている。
 一方、私たちの生活は、企業の倒産、熟年労働者のリストラ、若年層も含めた就職難、失業者の増大など悪化している。小泉内閣の「構造改革」で精神的、肉体的に痛みを負わされているのは、労働者をはじめ権力をもたない者だけである。
 また「拉致問題」では、進捗状況がないなか「反共和国キャンペーン」のもと、在日朝鮮・韓国人学生にたいする嫌がらせや暴行事件などが頻繁に起こつている。いまだにつづく差別・偏見にもとづく、これらの暴力事件を許すことはできない。いまこそ、平和で差別のない社会、戦争と暴力の根絶をめざし、子どもたちが希望をもてる社会の実現に向け、闘いを前進させなければならない。

 こうした内外情勢の変化や「法」後の新しい段階のなかで、部落差別をはじめあらゆる差別撤廃のために、どんな法制度が必要で、どんな政策が実行されなければならないのか、各都府県連・支部で意見や知恵を出し合い、要求を組織し、闘いをすすめていかなければならない。私たちにとっても新しい時代に挑戦していく、新たな実践が求められている。
 「部落解放基本法」制定の闘いが生み出した「人権擁護法案」は、10月10日の衆議院解散によって「自然廃案」という結果になった。私たちは、これまでの「人権擁護法案」の抜本修正に向けた闘いの成果をふまえ、地方自治体からのとりくみ強化や、「人権侵害救済法」制定を実現し、真に独立性と実効性のある人権救済制度確立のために「差別禁止法」など法整備の確立に向け、国会内外の共同したとりくみをすすめていかなければならない。
 狭山再審闘争では、「狭山事件40年」の節目の年に女性が先頭になり、総学習運動をすすめるとともに、全国各地の住民の会と連携を深めながら、公正な証拠開示のルール化を求める署名運動を強化し、再審実現に向けた闘いを大きく前進させなければならない。そして、インターネットなど、悪質、巧妙化する差別事件が続発している今日、社会システムの変革と豊かな人間関係の実現をめざした差別糾弾闘争の強化も重要な課題である。
 また保育や子育て、識字のとりくみでも、女性部が中心になって活動をすすめてきた。これまでの保育や子育ての活動では、17号通達(「『同和保育について』の作成について」)をふまえた、新通達10号の積極的活用や「子どもの権利条約」「人権教育のための国連10年」や「新エンゼルプラン」を推進し、保護者・地域・家庭や教育現場でのとりくみをしっかり結合させ、いままでのような性別役割分担ではなく、解放保育・同和保育の成果を生かし、男女平等の視点をふまえた人権保育を創造していくことが求められている。
 さらに今年は「第2次・国連識字の10年」のスタートの年でもある。女性部を中心に文字を獲得し、差別からの解放をめざす闘いとしてとりくんできた識字活動の原点を再確認し、パソコン教室やアジアの人びとが中心に参加する日本語学級のとりくみなど、新たな識字活動の可能性も視野に入れながら、幅広く連帯交流を実現していくことも重要である。

 こうした課題とともに、少子・高齢化時代を迎えた今日、お年寄りや障害者、ひとり親家庭、子どもたちが地域のなかで安心して暮していけるまちづくりを創造するためにも、相談活動、世話役活動が重要なとりくみとなる。「人権と福祉のまちづくり」の実現のために、女性が先頭にたって、「地域福祉計画」に「部落問題の解決」を位置づけさせなければならない。また、「母子自立支援大綱」や年金制度、生活保護制度、医療制度の改革など、国の施策の動きをしっかり学習し、敏感に的確に対応しなければならない。
 さらに、部落差別と同時に女性差別撤廃にもしっかりと視点を置いたとりくみが必要である。今年8月に、国連・女性差別撤廃委員会から出された勧告や「男女共同参画社会基本法」の積極面を活用し、私たちの住んでいる自治体ごとでのマイノリティー女性の視点をふまえた、より具体的な内容の「男女平等条例」をつくる必要がある。
 そしてなによりも、来年7月の参議院議員選挙での松岡徹中央書記長の必勝をかちとり、部落解放・人権政策確立のための政治を大きく前進させていくためにも、女性部が一丸となって選挙闘争勝利に向けて闘いを展開しなければならない。
 今、私たちは変革の時代に敏感に対応する女性部運動の展開と組織強化にとりくみ、都府県連・各支部で、女性のあらゆる場での参画と次代を担う人材育成・力量を身につけていくことが求められている。第49回全国女性集会は、こうした多くの課題について、地域での実践をもとに論議を深めていこう。
 第49回全国女性集会の成功に向け、さまざまな差別問題や人権問題ととりくむ女性団体から学び、共闘を深めるとともに、世界の女性たちと手をつなぎながら協働・連帯をすすめ、部落差別をはじめあらゆる差別をなくし、戦争と暴力の根絶をめざすために、心をひとつにして、ともに奮闘しよう。


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