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人権週間のとりくみへ各
地で態勢を整えていこう
「解放新聞」(2004.11.22-2195)

 

 12月4日から人権週間が始まる。
 「世界人権宣言」は第2次世界大戦の深い反省から「差別を撤廃し、人権を確立することが恒久平和に通じるものである」として、1948年12月の第3回国連総会で採択された。このように「世界人権宣言」は、人類共通の課題として、人権確立をめざすことが、世界の平和と民主主義の実現に大きく寄与することを明確にしたものであり、今日、その精神はますます重要なものになっている。
 この「世界人権宣言」の精神をふまえて、具体的な差別問題の解決と人権の確立に向けて、国連では27の人権関係条約が採択されている。残念ながら日本では、国際人権規約や人種差別撤廃条約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約など10条約を締結しているに過ぎない。しかも条約の重要な部分、とくに差別を規制・禁止する事項については留保しているものが多い。こうした日本政府の人権諸条約にたいする消極的な姿勢を変革させるためにも、人権週間でのとりくみを強化しよう。

 「平和と人権の21世紀」を実現しようという世界の人びとの願いは、「国際テロ撲滅」を口実にした米軍を中心にしたアフガニスタン攻撃やイラク先制攻撃によって大きくふみにじられた。もちろん、いかなるテロ行為も許されるべきではない。どんな主義主張があれ、暴力から平和は生まれない。怒りの連鎖とさらなる暴力を生み出すだけである。
 しかし、小泉首相はイラク先制攻撃を真っ先に支持し、「人道復興支援」という美名のもとに自衛隊の海外派兵を強行した。その結果、日本大使館関係者殺害事件、日本人ボランティアの人質事件とつづき、日本人青年も人質となって殺害された。このような悲劇が繰り返されても、小泉首相は、自衛隊のイラク撤退を検討するどころか、自衛隊派兵の延長を画策している。
 今や世界中の人びとが認めているように、イラク先制攻撃の口実となった「大量破壊兵器」は発見されないし、存在すら疑問視されている。大義なきイラク戦争支援のために、平和憲法を踏みにじって強行された自衛隊の海外派兵は、まさに憲法や「教育基本法」改悪の先取りであり、決して許してはならない。

 今こそ、「暴力と差別」の根絶が求められている。
 日本でも、「犯人」が逮捕された差別ハガキ事件や、インターネット差別事件でも報告されているように、部落差別をはじめ、民族差別などさまざまな差別問題・人権間窺が根深く存在しており、人権週間に、あらためて「世界人権宣言」の意義を再確認することも、きわめて重要なとりくみである。
 今年の世界人権宣言56周年記念東京集会は、この間、われわれがとりくんできた「人権侵害救済法」制定を中心に、人権の法制度確立に向けた課題をテーマにする。また大阪集会は「人権教育のための国連10年」の総括をふまえた「人権教育のための世界プログラム」をテーマに論議を深める。
 全国各地でも、人権週間でのとりくみをさらに強化し、「世界人権宣言」の具体化をすすめ、「平和と人権の21世紀」実現に向けた連帯の輪を大きく広げよう。


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