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世界の平均年齢は26歳だという。わが同盟の平均年齢は何歳だろうか。少子高齢化が問題になっているが、各地の調査では部落の高齢者の割合は全国平均を上まわっている。とくに部落が長寿なのではない。青年が部落からいなくなっているのだ。
部落に住みつづけられないのか、住みつづけたくないのか、原因の究明が急がれるが、それにもまして、各地ですすめられている「人権のまちづくり」のとりくみに、青年対策と青年の参加を位置づけることが必要だ。
「特別措置法」以前、多くのきょうだいが、粗末な家で雨漏りを心配しながら、身を寄せあって寒さに耐えていた時代、誰が地区改良がすすんだ今日ある部落の姿を想像し得ただろうか。部落のきょうだいすべて、老若男女が団結し連動した結果が今日の成果であろう。ならば、現在の運動が、誰も想像できない「よき日」を実現するために、青年の情熱と行動は欠くことができない。
「学習しなくなった」「差別の厳しさを知らない」「連動への意欲が感じられない」などなど、青年への風当たりは強いが、「子は親の鏡」、部落の青年の姿はそのまま今の解放運動の反映である。私たちは、そうした観点から、組織の点検と青年の育成にとりくまねばならない。
日本は今、青年の失業・不就労がより大きな社会問題として立ちあらわれてくる時代を迎えている。とりくみは急を要する。
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当然、青年の課題は青年自身の運動なくして解決しない。現状への不平不満を、新しい時代の新しい解放運動を推進するカに変えてほしい。全国水平社創立以来83年の闘いの成果は、間違いなく部落の青年たちに刻まれている。与えられた資源を活用し、青年運動をすすめてほしい。
とくに敗戦60年にあたり、反戦平和にあらためて全国の青年のとりくみを求める。中央青年対策部では今年、中国・南京へのスタディツアーを準備している。また、8月6日には広島で全国子ども会集会が開催される。これらの活動にも、多くの青年の参画を求める。
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反差別国際運動での青年の活躍も望まれる。今日、差別の撤廃を求めるとき、国境を越えた連動が不可欠である。
中越地震被災者支援青年ボランティア行動には、新潟県小千谷市へ全国から39人が集まった。被災したきょうだいへの励ましとともに、部落のつながりをそれぞれの参加者が感じとった行動であった。天災による被害の回復に差別が障壁となるのは、日本だけではない。スマトラ沖大地震・津波の被災者支援にもとりくんでいるが、差別に苦しむ世界の「きょうだい」とつながりを広げていく、青年の若い行動力に期待したい。そうしてつくられる確かなつながりは、戦争をくいとめ、世界を平和へ導いていく礎となる。
今年は部落解放同盟改称50周年にあたる。青年のうちより、新しい時代の部落解放運動を生みだす始まりとしたい。
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