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部落問題資料室
NEWS & 主張
部落差別を利用
N社あいまいな態度に終始
怒りの声、再度協議へ
「解放新聞」(2005.3.7-2209)
 【大阪】コンピュータシステム開発会社N社の元社員が、他人になりすましたメールや勝手に作成した顧客企業の偽ホームページで部落差別を繰り返していた事件(2207号既報)で、第1回糾弾会を2月21日、大阪人権センターでひらいた。元社員の犯人Sは「部落差別の被害者のことについて何も考えずに事件を起こしてしまった」と語った。N社は、差別が起きた自社の責任や対応について、「結果的にそうなった」「そう思われても仕方がない」などあいまいな態度に終始、参加者から怒りの声が飛んだ。差別性や背景が十分に明らかにされなかったことから今後のとりくみについて再度協議することとなった。

大阪、和歌山、兵庫が糾弾会

 糾弾会には、元N社員S、N社から社長、専務らが出席。大阪府連、和歌山県連、兵庫県連をはじめ、行政、企業、関係団体など200人が参加。
 Sは「私自身がいわれもない誹謗中傷メールで人事移動させられたことで会社に恨みをもち、会社や同僚にたいして差別メールを送った」と語った。行為はエスカレートし、「部落問題を利用すれば会社が困る」と思いたち、インターネット上の掲示板2ちゃんねるで見つけたものを流用、一部創作し、部落差別メールや差別ホームページを作成したことを語った。
 なぜ部落差別だったのかを問いただすと、「N社にダメージを与えたいから」「最初に(2ちゃんねるで)見つけたのがたまたま部落差別だった」と回答したが、Sがおこなった行為は、「部落問題を取り上げればN社は困り、顧客から信用を失う」という計算と、部落差別を理解しておこなった確信的な差別行為であることを指摘。なぜ部落差別だったのか、自分自身をよくふり返って改めて文書でまとめることとなった。

社内研修も歯止めにならず

 N社にたいして、Sが差別行為をおこなったのは、会社内で誹諺中傷メールが飛び交っていた職場環境や人事がきっかけであることを指摘。社内研修も歯止めにならなかったことも指摘した。また逮捕後、府連への報告が10か月以上も遅れたが、Sのおこした顧客への誹諌中傷にたいしてはN社はSの逮捕後すぐ、W銀行はじめ16社に謝罪に出向いていた。そのとき偽ホームページが作られたW銀行にも報告していたが、差別的な内容についてはあいまいにしか説明していなかったことが明らかになった。
N社の隠ペいともとれる差別的な対応、事件の重大性を理解していない姿勢について厳しく指摘。差別事件を引き起こす社内の体質など十分に明らかにできなかったことから、今後も協議することとなった。

差別メール事件の概要
 2002年10月、大阪府連の支部や兵庫の関係機関など4か所のホームページのメールアドレスに差別メールが送られてきた事件。
 メールには「N社(株)は大阪部落民を差別する会に加盟しています。以下のエタ・非人の可能性が高い住所にお住まいの下僕民の差別を推奨します」と、大阪の被差別部落の地名が40か所も書かれていた。送信者はN社の代表取締役名になっており、N社の所在地、ホームページアドレスも記載。犯人はN社の代表取締役に「なりすまして」差別メールを送信していた。
 2003年4月、さらにN社の取引先であるW銀行の偽のホームページをN社が発見。Sが作ったそのホームページには「(部落民は)人に非ず。死あるのみ」「部落への融資お断り」と表記し部落地名を掲載。
 同年4月11日、N社社員のSが逮捕され、5月に営業妨害の刑が確定。N社はSを懲戒解雇。これまでの確認会でSは人事面での不満から会社に恨みを抱き、メールで同僚や顧客への中傷メールを繰り返し、その後「部落差別を利用すれば会社が抗議を受ける」と思い犯行にいたったとのべている。また、大阪府連に犯人逮捕の連絡が入ったのは10か月以上たった2004年3月末だった。

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