「サンデープロジェクト」差別放送事件(2208号既報)の確認会を2月27日午後、東京・中央本部でひらき、田原総一朗さん、高野孟さんの2人から、発言の意図とその結果ひきおこされたことの認識などを直接聞くとともに、部落解放同盟から10点の問題点を整理して指摘し意見を交換。基本的に共通認識であることを確認した。
田原さんは、部落問題をテレビがとりあげることはタブーだった。それはいまもある。むしろとりあげないことが差別だととりくんできた。そのことを発言しようとしたものが説明不足で一連の流れになった。「被差別部落のなんとかっていって」は、「周知の事実だから」とのつもりだったが、古い友人からの指摘の手紙で、「問題ある。悪かった」と後で反省し、ちゃんとやらんといかんと思い、翌週の番組で謝罪した。その謝罪のなかでの「深層のなかでのついそうゆうもの」とは、同じ意識でとり
くんでいるつもりだったが、少し距離があり、外からみていたんだなあ、と自己分析した。
高野さんは、「大阪湾に浮く」で念頭にあったのは、まったく別の団体。被差別部落とうけとめられるという指摘をうけ、初めて気がついた。まったくの説明不足で「部落だから浮く」という印象を与えてしまったとふり返った。
中央本部からは、谷元書記次長、北口中執、赤井中執らが出席した。
大きな影響視聴者に
発言の問題点を整理し指摘
サンデープロジェクト差別放送事件で
「サンデープロジェクト」差別放送事件の確認会では、谷元書記次長から10点の問蔑点を整理して指摘した。それは、 ①田原さんの発言が、浅田被告の犯罪と被差別部落を短絡的にかつ意識的に結びつける印象を視聴者に与えた
②部落問題へのタブー視がマスコミのなかにあり、その流れのなかで「大阪湾に浮くかもしれない」という高野さんの発言が部落問題をとりあげると身の危険があると暗に指摘した内容になっている
③「50億円の犯罪」という特集のタイトルであったにもかかわらず、冒頭の説明では部落差別のタブーに挑戦となってしまい、番組の趣旨が歪曲されている
④問題発言があったとき、番組中に制止して、訂正や指摘の発言がされなかった
⑤2月23日の放送で、アナウンサーによるおわびのコメントで対象になったのは高野さんの「大阪湾に浮くかもしれない」の発言だけ
⑥翌週30日のあらためてのアナウンサーのおわびコメントで、ア)浅田被告の生い立ちにふれた イ)浅田被告の犯罪が部落一般に関係があると誤解を生んだことを指摘しているが、このとらえ方は表面的。浅田被告の生い立ちにふれたのが問題ではなく、とりあげ方に問題があり、そのことが視聴者に悪影響を与えたということ。とりあげ方による波及効果を考えるべきである。
⑦アナウンサーのコメントをうけた田原さんの謝罪のなかの「深層のなかでついそういうものが」とあったが、「そういうもの」の掘り下げが必要
⑧高野さんの謝罪のなかの、「差別と犯罪を関係づけるような印象」という発言には核心へのズラシがある。それは、タブー視されている部落問題をとりあげると大阪湾に浮くかもしれないという流れがあり、部落への強烈な予断と偏見を視聴者に植えつけるものになってしまっている
⑨うじきさんの「あぶないですよ2人とも」も同じ質とうけとめられる。謝罪のなかの「軽率なところ」の意味と内容が不明確である
⑲田原さん、高野さんはじめ「サンデープロジェクト」のスタッフが、差別意識を否定されながらとりくんでいるとは考えるが、その意図とは別に、よくある「つい、うっかり」という形でなく、部落問題をよくわかっているが故に、十分説明しきれず、逆に視聴者に、部落問題をとりあげるのは身の危険を生じるかもしれないが、あえてとりあげる、というような演出になっていた
確認会には田原さん、高野さんのほか、テレビ朝日の中井靖治・常務取締役報道局長はじめ制作スタッフや、出演者らも出席した。
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