最高裁第1小法廷(島田仁郎・裁判長)は3月17日、再審を求めた狭山事件の特別抗告にたいして抜き打ち的に棄却決定をおこなった。棄却決定(3月16日付)の中身は、徹頭徹尾「はじめに棄却ありき」の態度で貫かれている。たとえば、斎藤違鑑定についても総合的な判断を示すことなく、「少時様」は指紋検査に使われるアセトン溶液ですべて溶解したからボールペンで書かれた、「肉眼で観察したところ『少時』と『様』が別の筆記具で書かれたとは認められない」と、いっさいの事実調べ・鑑定人尋問もせず、一方的な決めつけで、白を黒といいくるめる手法をあらゆる論点で展開している。そうしたうえで、「つぶさに検討したが、いずれも、申立人の犯行であることに合理的な疑いを生じさせるにたりるものではない」と結論づけている。しかも、この棄却決定は、狭山事件再審弁護団が3月24日に新証拠、補充書を提出する約束を一方的に反古にし、抜き打ち的におこなったものだ。中央本部は、ただちに抗議声明を出し、同日午後5時からの狭山事件の再審を求める市民の会による記者会見に合流。組坂委員長は不意打ち、だまし討ちである棄却決定にたいして怒りをあらわすとともに、石川さんの無実をかちとるまで闘い抜く決意を示した。また、石川一雄さんもえん罪が晴れるまでは、とことん闘うと語った。
各地でただちに
抗議行動展開を
記者会見で組坂委員長は、「今回の棄却決定、まさに不意打ちであり、だまし討ちである。今回こそは、最高裁が真剣に新しい証拠、鑑定書などを受け止めて、東京高裁に差し戻すと大いに期待をしていた。誠に残念で、憤懣やるかたない。最高裁判所という、その裁判という名に値するのかという思いでいっぱいだ。狭山事件は部落差別にもとづくえん罪事件。なんとしてもこの石川一雄さんの無実を晴らしたい。私どもも、弁護団、市民の会の方がたなどと一緒になって、石川さんの無実をかちとるまで、闘い抜く」と決意を示した。
また、石川一雄さんは、「世論の風が吹き、多くの新証拠が発見されたことから、今度こそ最高裁は誠実に私たちの訴えを聞き、差し戻しをしてくれると思っていた。1時ごろ最高裁から手紙が来た。憤りをもって読んだ。これほど怒りをもったことはない。私も死ぬまで、えん罪が晴れるまでは、とことん闘います」と怒りを込めながら闘い抜く決意を語った。
早智子さんは、「裁判官は法律、法の専門家。でも、鑑定の専門家ではない。肉眼で裁判官が見て、認めがたいという判断を出している。こういう、暗黒裁判がとおるとは、信じられない。狭山の追い風を感じているときに棄却をされたことは、無念。石川のみえない手錠を外していただきたい。生きて彼のえん罪をかちとるという決意にいま燃えている」と語った。
弁護団の中山武敏・主任弁護人は「最高裁が弁護人との約束を破ってまで決定を出すとは信じられない。この決定は絶対に承服できない。真実が明らかになるまで再審を申し立てていく決意を固めている。この裁判への批判は、運動のなかで高まってくる。必ず、最後は真実が明らかになると確信している」と力強くのべた。
棄却決定が出た17日の夕方、京都府連では緊急の抗議集会をひらき、60人が参加。また、各地で抗議のビラまきなど、街宣行動が展開された。
中央本部では、22日に緊急の抗議集会をひらき、最高裁への抗議行動もおこなった。
各地で抗議の世論をまきおこそう。
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