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われわれは全国大会で、部落解放同盟として「憲法・教育基本法問題に関する基本見解」をまとめる作業にとりくむ、教育基本法に関しては①「何を求めるのか」②「一字一句を金科玉条のように扱うという姿勢ではなく、差別撤廃・人権確立にとって本当に守り発展させるべきものは何なのか」という視点で議論をすすめることを確認した。
教育基本法「改正案」の今国会上程は見送られるもようであるが、卒業式での「日の丸・君が代」の強制や歴史教科書の記述をめぐる「教科書検声で、一部報道でも明らかなとおり、一握りの国権主義派をはじめ教育基本法「改悪」に向けた動きは以前にもまして露骨化している。
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われわれは、教育基本法「改悪」の流れを断固阻止するとりくみをすすめるとともに、こうした流れを生みだし、戦後民主主義教育のあり方を否定し、教育を危機に陥れようとしている「新自由主義」的なるものの動き一つひとつを注視し、異議を唱えていかなければならない。
部落解放同盟にとって、現行法第3条「すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」の規定が、「守り発展させるべきもの」であることは自明であろう。
この規定は、奨学金闘争をはじめ解放教育運動の最大のよりどころであり、就学が困難な低所得者層をはじめ、すべての子どもたちに平等に教育の機会を保障してきた戦後民主主義教育の根幹をなすものである。しかしながら、この「教育の機会均等」が危機にさらされようとしているのである。
これまでに教育基本法「改革案」として、中教審中間報告、同答申、与党・中間報告が公表されているのみであり、正式な「政府案」は公表されていない。今年1月、読売新聞が「政府案」なるものを掲載し、文部科学省が即日に否定するという事態があった。その「政府案」では、第3条の差別されない対象から「社会的身分、経済的地位又は門地」が削除されている。もちろん、文部科学省が否定した「政府案」であるから「公式」なものではないが、「改正」論者のなかにこうした画策を企てようとしている者がいることを見過ごしてはならない。
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われわれは、これら記述の削除や改変の意図するところと、その背景を見抜いていかなければならない。「愛国心」や「公共心」が「日の丸・君が代」強制や「心のノート」導人という形で「教育基本法」改悪の先取りがおこなわれているように、条文の変更を待たずに制度と運用の改悪がすすめられている。
現在、内閣「規制改革・民間開放推進会議」で、「新自由主義」派=「規制改革推進」派が、学校教育にも市場原理が必要であり、そのために学区制廃止=学校自由選択性と教育バウチャー制度の導入をすすめるべきだと主張している。つまり、経済的に裕福な者は選択の幅が広がるが、貧困層には選択の余地がないという状況が生み出されようとしている。そして、その選択は個人の「自己責任」によるものであり、第3条の「社会的身分、経済的地位又は門地」の削除によって、「差別ではない」とされてしまう。
このような現行の教育基本法の理念から大きく逸脱した教育のあり方と、「差別」を「差別ではない」とする「教育基本法」の「改悪」を断固許さず、阻止しなければならない。現在、中央教育審議会で、義務教育費国庫負担金制度の今後のあり方について議論がおこなわれているが、技術的な問題に惑わされてはいけない。憲法第26条が「義務教育は、これを無償とする」と、教育基本法第3条が「差別されない」と規定しているように、第一義的には国が教育を受ける権利を保障する義務を負っているのである。
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教育基本法「改正」の理由とされる「いじめ」「不登校」「学級崩壊」「青少年犯罪」など「公教育」の現場の諸問題は、今日の日本社会が構造的に抱える困難と危機が子どもたちにあらわれているのであり、単に教育基本法を「改正」すれば解決する問題ではないのである。
こうした子どもたちにあらわれた諸課題を解決していくためには、地域や社会全体のあり方を問い直すとともに、学校・保護者・地域が一体となった「学校と地域の協働」によってさまざまな課題を克服し大きな成果をあげている同和教育・人権教育の手法こそ有効であり、この同和教育・人権教育の手法を学校教育全体のとりくみのなかに普遍化して、教育の内実を創造していくことが今こそ求められている。
子どもたちの将来と差別撤廃・人権確立にとって本当に守り発展させるべきものは何なのか、共闘会議や平和、人権の確立を願う人びととともに憲法と教育基本法の改悪阻止に向けた責任ある論議ととりくみをすすめていこう。
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