「連続・大量差別ハガキ事件」の第5回公判が5月6日午前、東京地裁の第511号法廷でひらかれ、犯人Aの本人尋問と、Aの父親の証人尋問がおこなわれた。Aは、部落問題を「怖いもの」とイメージさせる話をアルバイト先で聞いたことや、『同和利権の真相』から部落の人を「怖い人」として部落解放同盟に反感をもっていたこと、学生時だ代に同和教育を受けたことはなかったことなどを語り事件の経緯などを語った。
事件を起こした心境については、「当時の自分は仕事をしたくてもなかなか見つからなくて、自分は社会のなかの最下層の人間と思ってしまった。一番下の地位にいるのは自分のなかでつらかったので、昔差別されていた人を下に結びつけたと思う」など、語った。
「身分差別は江戸幕府という国家機関がはじめたことだったので、悪いことだとは思わなかった」こと、「法律に触れなければいいやという誤った考えをもって」差別ハガキを出していた、などと語った。
一度終結を宣言し、その後再開したことについては、事件が大きく新聞報道されたことを見て、「動転」して「すぐ謝罪の手紙を出きなければ」と終結宣言した。しかし「本質まで考えていなかったので反省できていなかった」ために再開にいたった、と語った。
部落出身者の近隣に部落出身者を誹諺中傷する差別ハガキを送ったことについては、「『同和利権の真相』を読み、同和の人は怖いと思っていたので、近所の人に教えてあげたほうがいいと思った」と隣近所に住む人のためにやった気持ちが強かったことを強調。また、「人に公開されたくないことをバラしてしまった」と、いまだに問題点を認識できていないことも明らかとな
った。
「まず一人ひとりの被害者に直接会っておわびをしたい。まだ同和問題や差別のことに十分認識できていないことがあると思うので、解放同盟の方がたに教えてもらい、立ち直りたいと思う」などとのべた。
第6回公判は5月27日午前11時半から。今回留保された書証の処理などがおこなわれる。
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