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部落問題資料室
NEWS & 主張
糾弾会は公共・公益性にかなう
松阪商高の元教員差別事件で
慰謝料請求訴訟の控訴審第2回公判
「解放新聞」(2005.7.11-2226)
 三重県立松阪商業高校に勤務していたY教員による差別事件(1942号既報)にかかわり、Y教員が起こした慰謝料請求訴訟の控訴審第2回公判が6月22日、名古屋高裁1001号法廷でひらかれた。公判では、提出された書面をもとに、Y教員と部落解放同盟の両弁護団が口頭で弁論した。

控訴審の論点

 4月25日の第1回公判では、Y教員側が控訴理由を説明し、堀忍・三重県連書記長(当時。現在、県連副委員長)が意見陳述した。
 今回の控訴審の論点として、Y教員側は、Y教員の発言を「私人間の対話」「不適切な発言」にすぎず、その場で謝ったら済むことなのに、Y教員を部落解放同盟が糾弾すること自体が「違法」▽三重県教委などは三重県連と「共謀」して糾弾会にY教員を「強制参加」させたことは、県教委は「教育の中立性」に反する▽「三重県同和教育基本方針」は、部落解放同盟の運動方針に従った「違法」な方針で、それを採用している県の同和行政自体が「違法」だ、などと主張している。

悪質な部落差別と弁論

 これにたいし、部落解放同盟側は、Y教員による自治会分離運動と発言は、きわめて悪質な部落差別▽糾弾会は、社会から差別をなくすという普遍的価値の実現をめざしたもので、「公共性」「公益性」にかなうもの。国際的にも部落差別の撤廃が重要な国際的関心事項となっている▽1審判決で、県教委担当者が確認会・糾弾学習会への参加を「強要」したとして「違法」だとの根拠としている地対協・意見具申や法務省人権擁護局総務課長の通知は、部落差別の現実を無視し、国や地方自治体の部落差別撤廃に向けた責務に関する国際的な人権基準に反する▽県の同和行政が「違法」だとする根拠はどこにもなく、「三重県人権教育基本方針」や「同和教育基本方針」は国際人権にかかわる今日的潮流に適合し、今日的課題を適切にとらえたもので違法祝される余地はまったくない、などを主張し、反論している。
 公判のあと、高裁近くの桜華会館で集会をひらき、三重県連をはじめ近畿・東海ブロックから応援に駆けつけた同盟員など73人が参加。弁護団の松本建男・弁護士や丹羽雅雄・弁護士などから裁判の現状を聞き、完全勝利への意気込みを全員で共有した。

 次回公判は9月14日。

 この訴訟は、Y教員が、自分の起こした差別事件にたいする同校の同和教育推進委員会や三重県教育委員会のとりくみ、部落解放同盟の確認会や糾弾学習会、Y教員にたいする県教委の戒告処分、津地方法務局の説示などが、Y教員にたいする「脅迫」「強要」「名誉毀損」「暴行」にあたるとして津地方裁判所に訴えていた1100万円の慰謝料請求訴訟。
 昨年11月25日に出された判決では、Y教員側の訴えを一部認め、三重県だけに220万円の慰謝料支払いを命じ、そのほかの訴えはすべて棄却した(2223号参照)。
 この判決にたいして、三重県もY教員側も控訴し、4月25日から名古屋高等裁判所で控訴審が開始されている。

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