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部落問題資料室
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敗戦から60年を迎える今夏
反戦平和のとりくみ強めよう
「解放新聞」(2005.8.1-2229)

 今年は戦後60年にあたる。この60年間、戦争の悲惨さを体験した人びとによって、戦争がいかに残酷で非人間的なものであるか、実感をもって語りつがれてきた。しかし現在、戦争体験者が高齢化し、戦後生まれの人びとが大多数を占めるようになり、戦争体験の風化がいわれている。
 一方、イラク戦争やアフガン戦争の報道に見られるように、最近の戦争報道からは戦争の悲惨さは伝わらない。ミサイルや空爆砲撃の映像や戦局、死者数などだけが報道され、その下で多くの人びとの体が引き裂かれ、血を流している悲惨な状況は報道されず、戦争の悲惨さは十分には伝わらない。
 そのようななかで、戦争への嫌悪感が薄れ、二度と戦争はしないという誓いを忘れたかのように、戦争を容認する人びとの発言が公然と出てくるようになってきた。そして、有事法制がつぎつぎと制定され、人びとを強制的に戦争に協力させる態勢が再びつくられつつある。
 また、小泉政権は憲法をふみにじり、戦闘がつづくイラクに自衛隊を派遣した。そして今度は、憲法を改悪し、自衛隊を米軍といっしょに武力行使ができる軍隊に変質させようとしている。
 このような流れを断ち切り、憲法の平和主義を堅持し、原爆慰霊碑に刻まれた「過ちはくり返しませぬから」との誓いを、今こそ具体化していかなければならない。
 広島、長崎に原爆が投下されてから60年、敗戦から60年を迎えるこの夏に、戦争の悲惨さと愚かさを再度学びなおし、反戟平和のとりくみを強めよう。

 今年の部落解放全国子ども会集会は、8月5日から6日にかけて広島で開催し、反戦・反核・平和の学習を深めることにしている。この集会への参加だけでなく、ぜひ、各地の子ども会でも平和学習の機会をつくろう。また、子どもだけでなく大人も含めて、もう一度平和への誓いを新たにし、現在の危険な状況を変える行動をおこす必要があり、各地で学習会や映画会など創意工夫して開催していこう。

 当面する課題として、8月に各地で採択される教科書が、侵略戦争の反省をふまえ、平和・共生と人権の視点に立った教科書となるようとりくむことが大切である。また、日常的に学校で平和教育や人権教育がきちっと実施されるよう働きかけることも大切である。
 さらに、イラクからの自衛隊の早期撤退を要求すること。米国の軍事戟魔に日本を組み込むような米軍基地の再編や迎撃ミサイル共同開発を阻止すること。戦争を美化する宗教施設である靖国神社への首相参拝をやめさせ、他国や民間人も含めたすべての戦争犠牲者を追悼することを要求すること。戦争の反省から生まれた教育基本法、平和憲法の精神を具体化し、改悪に反対することが重要である。
 8月は、原爆犠牲者の慰霊をはじめ、戦争犠牲者を慰霊する行事も多いが、戦争の反省を1人ひとりの心に深く刻み、戦争をくり返さないことが、本当の戦争犠牲者にたいする慰霊になる。
 国連では「国家の安全保障」の限界から「人間の安全保障」という考え方が台頭しており、それは世界人権官言の精神と深く結びついている。平和と人権は表裏一体であることを肝に銘じ、反戟平和のとりくみを強化していこう。

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