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部落問題資料室
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主張

 

第57回全同教大会(宮崎)で
積極的な議論を展開しよう
「解放新聞」(2005.11.14-2244)

 第57回全国人権・同和教育研究大会が、人権文化を切り拓く同和教育の営みをより多くの人のものとし、その内容のいっそうの深化と発展をめざして、11月26~28日の3日間、宮崎県・宮崎市総合体育館を主会場にひらかれる。
 同和教育は、部落問題を軸にあらゆる差別と人権問題を結びつけ、課題解決に向けて豊かな教育内容の創造と実践を積み重ね、今日の人権教育の基盤づくりに重要な役割を果たしてきた。そして、今日、いたずらに競争のみを煽る市場原理と社会的背景を無視した自己責任論が、公教育の内容や責任を形骸化しようとする危険な状況のなかで、人権・同和教育の泉たす役割と責任は、ますます大きくなってきている。
 しかしながら、「新しい歴史教科書をつくる会」など反人権・国権主義派による「教育基本法」の改悪策動や同和教育にたいす、る不当な攻撃、また、教職員配置にかかわる財政負担と配置権限をめぐっては省庁間と国と地方による権益争いに終始している現状など、人権・同和教育の推進にとって看過できない事態も見受けられる。

 わが同盟は、こうした反人権・国権主義派の妨害にたいしては怯むことなく、人権・同和教育の推進に向けた諸条件の確保と整備に向けた闘いをすすめていくものであり、各都府県連・支部段階では、中央のとりくみに呼応した自治体・教育委員会交渉にとりくむなど、各地での人権・同和教育の発展と推進に向けて、いっそうの奮闘をお願いするものである。
 とりわけ、当面するとりくみとして、文部科学省人権教育の指導方法等に関する調査研究会議が10月26日に公表した「人権教育の指導方法等の在り方について〔第二次とりまとめ(案)〕」にたいするパブリックコメントの集中と、「第二次とりまとめ」を活用した人権・同和教育の推進と具体化のとりくみをすすめてもらいたい。
 調査研究会議では、この「第二次とりまとめ(案)」の作成にあたって、全国各地の人権教育の優れた実践例や先進事例を取り寄せ、それらの事例を普遍化させた形でとりまとめの内容に反映させている。つまり、これまでの同和教育の実践が明らかにしてきた成果や教訓が少なからず活かされているということである。
 具体的には、被差別当事者のエンパワメントの視点の弱きや、「人権」を情緒的問題として強調しすぎる側面や、「開かれた学校づくり」の位置づけの弱き、など若干の課題は残すものの、①人権教育の基本的考え方②学校としての組織的なとりくみと家庭・地域および校種間の連携③人権教育の内容と指導方法などの充実④学校や教育委員会の研修などのとりくみ、の4点の柱で構成されており、体系的な人権教育のカリキュラムづくりと校内推進体制の確立や、被差別の立場にある「児童生徒などの経験や思、い」を重視することに言及するなど、人権・同和教育を推進していくうえで基本的に評価・活用できる内容となっている。

 わが同盟は、全同数大会で、全国各地で積みあげられた豊かな実践がもち寄られ、成果と課題について活発な議論が展開されることを期待する。
 そして、全同数大会での実践報告にもとづく議論と合わせて、今回の「第二次とりまとめ」を、今後の人権・同和教育の推進に向けた追い風として、積極的に広め、活用していくことをよびかけたい。
 まずは、各地で、この「第二次とりまとめ」をしっかりと具体化していくとりくみをすすめてもらいたい。そして、具体的な個別実践を積みあげるなかで、「第二次とりまとめ」の不十分な点を克服し、各学校・地域で人権・同和教育推進指針や推進体制の再構築に向けたとりくみをすすめていこう。


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