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部落問題資料室
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主張

 

2006年を人権・平和・環
境の勝利の年にしていこう
「解放新聞」(2006.01.15-2252)

 アダム・スミス以来の論理がアメリカ・シカゴ学派を中心に新たな装いを凝らして提起してきている。それは、あらゆることは市場に任せろ。市場こそが神の手をもって調和をはかる、ということだ。
 そもそも出発点での平等もない現実のなかで、この市場原理主義が何をもたらしているのか。世界化した大資本だけが、あらゆる国の中小資本をなぎ倒し、あらゆる富を一極に集中していく。
 それらの市場原理主義者=新自由主義者は、不平等や差別は、努力をしない奴が悪い、ごたごたいうな、という主張を繰り広げる。ここに、今日の新自由主義、国権主義、民族排外主義を信奉する人びとの差別への根拠がある。
 いま、敗戦後、私たちが血を流しながらかちとってきた成果が、新自由主義者のいう「小さい政府」「構造改革」「三位一体改革」の名のもとに改悪がすすめられ、切り捨てられようとしている。
 こうした戦略の射程に、改憲や教育基本法改悪攻撃がかけられてきているのだ。
 具体的には、競争の名でのセイフティネットの破壊や指定管理者制度による「自由化」、「規制緩和」の名による教育や医療の「自由化」などなど。それは、富める者はますます富み、貧しい多くの人びとは充分な教育・医療など受けられず野垂れ死にをすることもやむなしとする冷酷な社会となることを意味する。この国を差別や排外をもとにした、貧富の差を固定した、超格差社会にしようという動きが露骨にあらわれている。

 こうしたなかで、部落解放運動、女性解放運動など反差別、人間解放をめざす運動に大きなバックラッシュ(逆襲)がかけられている。
 思い起こしてもみよう、昨年3月からの自民党内の「人権擁護法案」をめぐる論議を。あんなに中身が不十分な法案にさえ、国権主義・民族排外主義者によるバックラッシュが吹き荒れたことを。
 米国に追随し、戦争への道をひた走る小泉政権、国民総監視社会のなかで、人びとの閉塞感、被抑圧感が増すなかで、差別事件は確実に増加・悪質化しているのが現状だ。

  しかし、こういう状況だからこそ、私たちは人権と平和を機軸に、部落解放・人間解放をめざして闘い抜かなければならない。
 戦前の嵐のような軍国主義の弾圧下で、解放の父・松本治一郎先生をはじめ先達は投獄にも屈せず闘い抜いてきた教訓を忘れてはならない。踏まれても踏まれても立ち上がる水平社魂、部落解放魂を燃えあがらせ、あらゆる人びとにとっての「よき日」をめざさなければならない。そのことが自主解放をめざし創立された全国水平社いらいの、私たちの人類史的課題だからだ。
 今年こそ、「人権侵害救済法」の制定をはじめ、この国の人権法を整備していこう。また、今春の狭山第3次再審請求をおしすすめ、再審実現をかちとろう。反差別共同闘争を担う多くの人びととともに、歴史を動かし、人権・平和・環境への途を切りひらこう。


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