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部落問題資料室
NEWS & 主張
とりくみの内実を厳しく問う
T保険会社「同意書」差別事件で糾弾会
「解放新聞」(2006.01.23-2253)
 T保険会社による「同意書」差別事件で12月16日午後、東京・中央本部で糾弾会をひらいた。
 東京人企連の有力企業であるT保険会社のこれまでのとりくみの内実を厳しく問うとともに、差別性の所在や問題点をあらためて指摘し、会社への糾弾会は今回で終え、今後のとりくみを見守ることとした。
 事件は、交通事故後、T保険会社が保険金を支払うにあたり、8つの拠点で、交通事故の被害者らに、「門地」も含めた広範な個人情報をT保険会社が取得・利用することに同意を求めるような記載の差別文書を送付していたもの。合計361枚使っていた。
 6月28日に事故被害者の家族が高知県の1拠点に間題提起したが、担当者や上司は問題を認識できず、9月21日に同じ人から再提起されるまで3か月近く放置された。
 糾弾会には、組坂委員長、谷元書記次長、和田中執と、高知県連・市協の代表ら、9人が参加。T保険会社からは、人事部長、人権啓発室長ら8人が出席した。

社会の信頼裏切るようなこと
T保険会社が反省の意を表明

 T保険会社による「同意書」差別事件の問題の文書は、会社が保険金を支払うために治療の内容などの情報を取得・利用することに同意を求める『同意書』を説明した文書『同意書の送付について』。「保険金の支払をするために必要な範囲で」といいながら、「政治的見解、信教(宗教、思想および信条をいう)、労働組合への加入、人種および民族、門地および本籍地、保健医療および性生活、ならびに犯罪歴に関する情報(=センシティブ(機微)情報)」と列記して取得・利用に同意を求める説明になっている。
 この列記は、『金融分野における個人情報保護に関するガイドライン』(04年12月6日金融庁告示第67号)の第6条からそっくり抜き出されたもの。ガイドラインの不十分性・曖昧性も今回の問題惹起の一因になっていた。中央本部は、金融庁に、事件をふまえての金融行政全般での差別撤廃・人権確立へのとりくみ強化や、金融関係事業者への人権啓発・教育のとりくみの徹底をはかる措置を講じること、を申し入れる。
 糾弾会で、T保険会社は、「1982年の損保リサーチ事件以来の、ひじょうに重く受け止めるべき差別事件を引き起こしてしまった。社会の信頼を裏切るようなことが発生してしまい、ひじょうに申しわけなく思っている。損保リサーチ事件後、社長を人権啓発推進委員長に位置づけ、社員全員の人権意識の向上へ研修を積極的にすすめてきたつもりもあったが、今回、その浸透がまだまだ不十分とつくづく認識している。糾弾会でご意見をたまわり、今後の社員のいっそうの意識高揚と研修に活かしたい」とのべ、事件の全容・問題点・今後の対応策を報告し、反省の意を表明。
 『同意書の送付について』は、すべての回収・破棄が12月14日に完了したことも報告された。
 部落解放同盟からは、差別性の所在や問題点をあらためて指摘し、会社に、①社長名での事件への見解と今後の社内人権研修・啓発強化の声明を社内広報で全社員に周知徹底②社内人権啓発システムの抜本的見直し強化と全社員へのきめ細かい人権研修のための継続的・系統的な計画の策定・実施③人権研修は、内部講師による研修だけにとどめず、差別問題・人権問題に精通した外部講師を招請して幹部研修を④東京人企連や損保協会で差別撤廃・人権確立へ積極的な役割を果たすこと、を求めた。

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