【滋賀支局】部落にたいして「これから先同和地区」「この先同和地区」と、昨年7月に同一人物によるものと思われる悪質な差別落書事件(別項参照)が起きた甲賀市で、12月3日、同市の柏木公民館で「甲賀市部落差別落書事件学習会」がひらかれた。人権教育啓発リーダーら150人が参加、事件の概要が報告され、同和教育啓発の重要性を再認識し、「差別を許さない人権尊重のまちづくり」をめざして今後のとりくみを確認した。
学習会でとりくみ確認
学習会を主催したのは、甲賀市部落差別落書事件学習会実行委員会(委員長=青木精一・甲賀市人権教育推進協議会水口支部長)で、事件後の11月17日にひらいた関係者対策会議でこの日の学習会を決定し、発足した。
学習会では、青木委員長のあいさつのあと、甲賀市から事件の概要、分析、要因・背景そして今後のとりくみが報告された。つぎに柏木地区人権教育推進協議会副会長の西川治さんが「悔しくて悔しくて残念でならない。「差別をしない・させない・許さない」地区別懇談会を年度内に再度開催する」。地元自治会区長からは「部落差別の根の深さをあらためて認識した。部落差別をはじめとする人権問題の解決に向けた実践をおこなう」と決意を表明した。最後に、甲賀市人権・同和教育指導員の小久保信蔵さんが「部落差別落書の本質を見る」と題して講演をおこなった。
同実行委員会は、「今回の事件は、明らかに「部落差別事件」であり、同和地区または当該地区住民にたいしての差別意識や悪意、ねたみ意識が感じられ、執拗かつ挑発的。当該地区にたいする差別意識を助長すると同時に、すべての同和地区に向けられた差別事件として受けとめる必要がある」とし、この事件を教訓として、これまでの同和研修や同和問題にたいする啓発活動を点検・評価し今後のとりくみに活かしていくこと、などを提起した。
事件の概要
事件は、05年7月21~24日にかけ、甲賀市の部落の東西出入り口3か所に落書した卑劣で悪質きわまりないもの。
まず21日、通報により、水路防止ゲートの支柱に「これから先同和地区」とマジックのようなもので書かれた差別落書を発見。24日早朝、地元の人が散歩中に「環境こだわり農産物栽培ほ場」の立看板に「この先同和地区」と書かれた差別落書を発見。同日夕刻、住民からの通報で市道のガードレールに「この先同和地区」と書かれた差別落書を発見した。
落書をした当事者は特定できていないが、筆跡から同一人物と考えられ、落書場所から地域の実情に詳しい人物と推測される。
対策では、7月28日に当該地区と部落解放同盟甲賀広域協議会が対策会議をもち、8月4日に「差別落書庁内対策会議」を設置、当該地区総会。10月28日、今後のとりくみ方針について打ち合わせ会議。11月17日、差別落書事件関係者対策会議をひらいた。
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