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部落解放同盟第63回全国大会の中央本部代表あいさつで組坂委員長が強調したことの一つに、日本はいま、1930年代と同じような状況にある、という言葉があった。このことは何を意味しているのか。
1930年は、日中戦争が始まった年だ。泥沼の15年戟争へ突入し、反戦の声は弾圧され、部落解放運動にも、当然にも弾圧は強化された。戦前社会の大きな分岐点が、この30年代だったのだ。陸軍を中心とした軍部の独走、軍国主義が網の目のように組織されていった。ものもまともにいえなくなるなかで、内にたいする差別・抑圧は強化され、外にたいする侵略がますます強化されていった。 それを想起させる状況が、いま、勃興しつつある。
たとえば、昨年3月10日からの「人権擁護法案」をめぐる自民党内での論議をみればいい。そこでは国権主義、民族排外主義が公然と語られ、それを支持する勢力が台頭してきた。政府は、「共謀罪」をはじめ、人びとを監視し、弾圧を加える立法を矢継ぎ早に制定しようとしている。総監視社会、不況、閉塞化した社会のなかで、部落差別、人権侵害は確実に悪質化し、増加している。
こうした状況のなかで部落解放同盟が、人権と平和の旗を掲げつづけることの意味はきわめて大きい。
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私たちが求めるものは、差別からの解放だ。しかし、それは単独で達成できるものではない。有機的に関連づけられた社会にあるかぎり、物質的なものを含む関係性としてある部落差別は、それらの栓桔全体を打破することを要求している。
連動方針が、戟争の道を歩み、弱者を切り捨て、格差社会を拡大する小泉路線との対決を掲げたのは、そのためだ。当然にも、それは憲法改悪、「教育基本法」改悪策動反対に連なる。これらは、反差別共同闘争としてとりくむことが求められている。
こうした一連のとりくみは、私たちにとって、日本の人権法制度の一環としてある「人権侵害救済法」制定、狭山第3次請求審での勝利、新たに2種類も発見された「部落地名総鑑」徹底糾弾という闘いをよびおこきざるを得ないものとなる。
人権が確立された社会をめざし、私たちは歩みを止めることはできない。
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しかし、問題は、全国大会で論議され、決定された中身が、具体的にそれぞれの実践の場、支部・地協・都府県連でとりくまれるかどうかだ。実践のためには、日常的な活動を活性化させることが重要だ。そして、組織を強化することだ。
第63回大会で固めた決意を、それぞれの分野、各級機関で、直ちに実践へうつしていこう。
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