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部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

次代を担う青年部運動
組織強化をかちとろう
「解放新聞」(2006.05.22-2269)

 50回という節目の全国青年集会を、9月16~18日に香川県の小豆島でひらく。
 小豆島は1957年の第1回全国青年集会の開催地である。〝若者は闘いの先頭に″を合い言葉に全国から約400人の青年が集った。集会宣言では、「私たちの前途は、希望も明るさもない絶望的なものでしょうか。いや、そうではありません。苦しければ苦しいほど、私たちは、差別のない明るい社会をつくらなければならないと、情熱に燃えるのです。それだからこそ、街や村で、部落解放のために、たたかいつづけてきたのです。~中略~ 私たちは部落にかえったら、ただちに多くの青年によぴかけ、部落のすべての苦しみが差別からきていること、みんなの団結によって差別から解放されるのだと、みんなが納得するまで話しあいをつづけます」と結ばれている。
 これを機に全国各地で青年運動が活性化され、50回にもおよぶ全国青年集会が積み上げられてきた。

 私たちは、部落解放運動の長い歴史と伝統をあらためて継承し、青年運動のいっそうの前進をかちとらなければならない。
 次代を担う青年部運動も停滞している支部や地協なども出現し、同盟員の減少とあわせて大きな課題となってきている。こうした傾向を改善するため、この数年間の全青でアンケート調査をおこない、そこから見えてきた課題と今後の展望をあげる。
 まず第1点は、「生まれ育ったところでの部落解放運動」から「現在の基盤(現在働いているところや住んでいるところ)での部落解放運動」という変化を今後の青年部運動に活かすことが求められているのかもしれない。そのことは、全青参加者のうち、「部落に在住」が7割を下回っているという点をしっかりと捉えておくこと。
 第2点は、「結婚差別」で2割弱、「その他の被差別体験」でも2割を占めている「部落差別」の存在である。「部落」にたいするアイデンティティは、現在居住しているということだけではなく、「部落に生まれ育った」だれもが差別にたいして敏感であるというあらわれでもある。差別を経験した多くの仲間が差別に怒り、社会に憤りを感じていることをもっと取り上げ、社会に発信していく力を、部落解放運動は、今まで以上に求められている。
 第3点は、「自尊感情」で、約半数の人が、「自分にかなり満足」しているという結果が出ており、部落解放運動への参加は、自立向上やこれからもがんばっていきたいという前向きな姿勢を導き出している。問題を解決するという自信も高い数字であり、高校生や子ども会の指導、人権のまちづくり運動といった「社会変革」「人材育成」などに身を置けば、人間を変革させ、成長させる〝証″であることが、アンケート調査結果にも明確にあらわれている点に、今後の部落解放運動の展望があることを期待させている。
 第4点は、部落に昔ながら存在している「差別を許さない」強い姿勢や「助け合う」団結などに、そのことを「誇れる」と答える青年が多い一方で、地域への愛着、定住意識などが薄い傾向が垣間見られる。強固な同盟組織を求める一方で、緩やかなネットワーク型の横でつながる部落解放運動の研究も、これからの青年を結集するためには必要不可欠な課題といえそうだ。
 中央本部、都府県連、地協・支部といった本部からの発信型運動から、横でつながるネットワーク型部落解放運動といった組織の形態、役割なども今後の研究テーマとして検討する必要性が出てきた。

 総じて、青年が関心をひく部落解放運動は、社会の変革や政治、市民参加によるまちづくりなど、積極的な「創造型」部落解放運動といった運動方針をもって大胆にとりくまなければ、魅力ある部落解放運動が実践できないということが、アンケート調査の結果から導き出される。
 あらためて、「部落差別の実態」が出発点といわれるとおり青年の「差別実態」をどう把握するかが重要である。被差別体験だけではなく、生活・意識、自分自身の捉え方など多岐にわたる。青年のニーズを掘り起こし、組織の強化をかちとろう。

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