pagetop
部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

組織の総点検を厳しくおこない
誇りと信頼を回復する組織建設へ
「解放新聞」(2006.05.29-2270)

 5月8日、大阪の飛鳥支部の現役支部長が「業務上横領容疑」で大阪府警に逮捕され大だい的にマスコミ報道されたという不祥事にたいして、部落解放同盟はこの事態を断腸の思いをもって受けとめ、心からの深謝を多くの関係者の方がたに表明する。
 5月15日にひらいた第63期第1回中央委員会で、この不祥事にかかわって真剣な議論が展開された。議論の基調は、差別を助長しかねないマスコミ報道のあり方や杜撰な大阪市行政の姿勢などの問題も別途追及しなければならないことも事実ではあるが、何よりもまず今回の事態を組織の責任として真正面から受けとめ、背景分析を的確におこないながら、徹底的な組織内部の点検や連動のあり方を見直していくことを最重要課題として考えていくべきだということである。
 大阪府連も、すでに「今回の事件に対する反省と心ある多くの方々に心配をかけたことを率直に謝罪し、部落解放と人権社会の建設に向け、これまで以上に自ら組織を律し、今回の事件でなくした信頼の回復を果たすため、府連執行部としての責任を果たすよう最大限の努力を傾注する」との見解を表明し、毅然たる組織的処断をもって事態に対処することを明らかにしている。
 長年にわたって先達の血と汗で築き上げてきた部落解放連動の社会的信用、労苦をいとわない熱心な支援者の信頼、全国のまじめに活動する多くの同盟員の誇りと自信を回復することが、何よりも大事である。そのことを抜きにして部落解放・人権確立への将来展望を見いだすことはできない。
 したがって、今回の事件の全容把握の努力と原因究明をおこないながら、大胆な自己切開にもとづく運動と組織の再生への明確な方向性を内外に明らかにし、着実に実践していく体制を作り出すことが、わが同盟にとっての当面する重要な課題である。

 中央委員会に引きつづきひらいた全国委員長・書記長会議では、前述の問題認識とその対応への基本姿勢を共有しながら、ここ数年来指摘されてきた具体的な組織強化の課題に絞って議論がおこなわれ、今後のとりくみの方向が確認された。
 組織の現状認識では、日常闘争の停滞問題、財源問題、少子化問題、部落外流出問題、住民ニーズの多様化問題などへの真剣な分析にもとづく組織建設課題の設定の必要性が提起された。そのさい重要なことは、長年の「特措法」時代の行政施策に依拠した運動的発想や組織的体質から脱却して、現実の差別実態に即した運動課題の提起とそれを推進するにふさわしい組織のあり方を検討し、部落内外の協働の力で日常活動を活性化させていくという基本姿勢を貫くことである。
 そのためには、今回のような不祥事をふくめて、徹底的にみずからの組織体質・倫理のあり方を検証し、少しでも問題を引き起こす危険性があれば、あれこれの小手先の「政治的配慮」を排して、その火種を取り除くことを躊跨してはならない。「組織の身内に通じる論理」と「社会的に通用する論理」が大きくかけ離れていくとすれば、部落解放運動の社会的自殺行為になるということを肝に銘じておくべきである。

> 全国委員長・書記長会議では、以上のような認識のもとに、今後の組織強化へのとりくみとして、つぎの4点の課題が提起された。
 まず第1に、20人程度の中央オルグ団の再編成の課題である。従来のような単発的な活動ではなく、各都府県連・支部の重点地域にしっかりと入り込んで、継続的に地域日常闘争に関与しながら運動・組織の活性化への課題を中央と地域が一体となって議論し、オルグ行動をおこなうことを目的にする。
 第2に、都府県連別の支部活動者会議の開催である。従来の全国ブロック別支部長研修のあり方を継承するものであるが、さらにきめ細かい双方向の意見交換ができるように支部長だけでなく支部活動家の参加を求める。基本的には6月から7月にかけての長期期間での開催をめざしている。
 第3に、「人権のまちづくり」運動の全国ネットワーク化に向けたとりくみの開始である。今後の部落解放運動の重要なとりくみの柱として、各地での地域まちづくり運動がはじまっている。このとりくみを全国的につなげていくことめざし、当面、準備段階として、年2回程度の経験交流や実践に役立つ講座開催を積み上げていくことにする。
 第4に、組織・財政強化に向け、全国組織強化本部会議を継続的に開催する。組織矛盾は言うにおよばず、組織建設のための課題を先送りすることなく、適切に具体策を検討・提起する体制を確立することである。
 わが同盟のすべての各級機関が、みずからの組織・運動の現状を総点検し、「組織と連動のあり方」に関する真剣な議論を展開していくことを強く要請する。

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)