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部落問題資料室
NEWS & 主張
「究極の真実、部落出身」と
市長選挙で悪質な差別ビラ
「解放新聞」(2006.06.19-2273)

 【山口支局】昨年5月の山陽小野田市長選挙で、部落差別を利用した悪質な差別ビラが配布された事件(別項)で3月7日、県連は、市行政と今後の人権行政・人権教育について協議し、職員、学校、企業などにたいする具体的なとりくみを確認した。

人権行政を総点検 

協議の冒頭、差別ビラを見た白井博文・山陽小野田市長は、「悪質な部落差別事象であり、刑事事件である。この間題を放置すべきでない」と憤りを表した。
 県連の宮川力雄・委員長が、事件の背景にある市民の部落差別にたいする意識の低さ、教育・啓発の弱きなどを指摘した。
 白井市長は、06年度にひらく「山陽小野田市人権推進大会」(仮称)の内容で、抽象的な「思いやり」「心がけ」など人権一般ではなく、具体的な差別問題をとりあげる」とのべ、「部落差別を避けて人権教育をすすめることはできない。今後、研修・啓発をしっかりとやっていく」と決意を語った。
 具体的には、職員研修のなかに、部落問題をテーマに入れることや、学校の人権教育の中身を総点検し、同和教育を柱にしっかりと位置づけること、企業にたいするとりくみもすすめていくことなどを確認した。
 最後に白井市長は、「今回の事件は自分がおこなったことではないが、この差別ビラで被差別部落の人たちを深く傷つけてしまった」と謝罪した。
 県連は、今後とも山陽小野田市の人権・同和行政、人権教育・啓発の前進に向けてとりくんでいく。

事件の概要
 05年5月10日、山陽小野田市長選挙で、「「知っていますか」市議A(実名)は極悪人ですよ 「その仮面を剥ぐ」」という見出しで、A候補にたいする誹誘・中傷ビラが山陽小野田市民の一部地域にまかれたもの。
 ビラの内容は、A候補者にたいしてのスキャンダルなどの記事で埋め尽くされているが、その文中にA候補者の父親について「(中略)……萩生まれ、萩育ちの〇〇〇〇氏(実名)が、小野田のA家に養子として迎えられ、功なり名をとげる道を選んだのは、何故か。究極の真実は、被差別部落出身ということや」と書かれていた。
 これは、部落にたいする社会意識としての差別観念を選挙に利用した最も悪質な差別行為である。
 また、このビラは山陽小野田市内の一部地域に配布されたにもかかわらず、県連が市役所に確認したところ、市民からの通報はなかった。ビラを受けとった市民が、ビラを見て悪質な部落差別であることを知りながら、ビラをそのままゴミ箱に捨てている現実も浮きぼりになった。

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