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部落問題資料室
NEWS & 主張
「条例」の課題を整理
研究者2人を招き
「鳥取県救済条例」見直し検討委
「解放新聞」(2006.09.04-2284)

全国初の包括的な人権救済条例で先駆的とりくみ 山崎公士さん
人権擁護行政への積極的姿勢を求める根拠に有効 大隈義和さん

 「鳥取県人権救済条例」第4回検討委員会が8月17日午前10時から県立図書館大研修室でひらかれ、山崎公士・新潟大学法科大学院教授と大隈義和・九州大学名誉教授が見解を表明。「条例」の意義や課題、問題点、工夫すべき点などで委員と意見交換をおこなった。
 山崎さんは、司法による人権救済は個別的解決にとどまり、人権侵害の構造的解明・抜本的解決が期待できないなどの限界を指摘。県条例は国レベルの「人権救済法」が未整備のなかで全国初の包括的人権救済条例であり先駆的なとりくみと評価。課題として、①「人権」「人権侵害」のより明確な定義②メディアによる人権侵害はメディアによる自主規制とし削除すべき③独立性を確保するための工夫④過料・公表については、説得・理解による解決をはかることが大事であり、慎重に審議すべき、などをあげた。
 大隈さんは、地方自治体は統治団体と人権保障の2側面をもつことを前提としつつ、人権侵害の概念について、教育・啓発、人権施策の推進は広く、個別救済では厳密にと、切り分けないと、適正手続き、過料・公表などで混乱を招く。メディア間題では自主規制かメディア内第三者機関がのぞましい。条例制定は行政に人権擁護行政への積極的姿勢を求める根拠として有効。過料については地方自治法に根拠をもつが実際には、「機能不全」といわれるぐらい使われていない。公表については個別救済では重大事件に限定すべき、などの考え方を示した。
 次回は9月7日午前10時から県立図書館で。

鳥取県議会とも意見交換

 鳥取県議会(山根英明・議長)との「人権救済条例」についての意見交換会も同日午後、議会棟・全員協議会室でおこなわれ、議員25人が参加。大隈さん、山崎さんを助言者に迎え意見をかわした。
 山田幸夫・県議(県連書記長)は、「条例は、あっせん、調停、教育・啓発が真髄であるにもかかわらず、公表・過料ばかりが論議で強調された。自主的解決をめざすものであることを広く県民にアピールしたい。県条例と「個別法」を重層的にくみあわせることで差別や人権侵害を解決できる」との意見を示した。
 杉根修・県議(県連顧問)は、「条例は突然でてきたものでなく、長い時間をかけて人権意識を高めてできたものと指摘。欠陥をふくめ見直しをすることは議会の総意」と、条例の充実と早期施行を求めた。
 過料についての意見交換のなかで山崎さんは、独立性を担保し、なっとくできる話しあいができることを県民に知らせ、県民の信頼がつけば、過料がなくても当事者が話しあいのテーブルについてくれる可能性がある。大隈さんは、福岡県立花町の連続差別ハガキ事件への対応を例にあげ、追及でなく被害救済に重点を置き被害者を支えるシステムも紹介した。


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