徳島自衛隊内自衛官による差別発言事件の控訴審判決(馬渕勉・裁判長)が、9月5日午前、高松高裁で出された。判決内容は、差別発言を受けたHさんの慰謝料を一審の30万から40万円に引き上げ、弁護士費用として5万円を認め、T自衛官の差別発言が3回あったことなどを認めたものの、判決内容はTやその連れ合い、その母親の一連の行為が二(Hさんの)気持ちを逆なでするものであっても」としながら、徹頭徹尾差別した側を擁護するものとなっている。
判決では、Tが「飲み代、飯代を出すから、今回のことはなかったことにしてくれ」とのべたのは、「被告人と話し合いの上謝罪する機会を設けたいとの気持ちから出たものであったと認められる」とし、「かえって控訴人(Hさんのこと)の気持ちを逆なでする結果となって」いても不法行為ではない、としている。また、「100万円でOKしてほしい」と繰り返しのべたことについても、「差別発言問題についての解決の具体的な糸口を見いだせないまま、裁判を避けたいとの気持ちから、金銭的解決を図りたいと考えるようになっていったものであり…事態打開に向けた模索的な動きをしたものと見るのが相当」などとしている。
さらに、Tの連れ合いが恐喝されているなどとして隊内の伍長への「相談が発端となって控訴人に対する検査が行われるに至ったとしても…違法な行為ということはできない」とし、連れ合いやその母親によるHさんを非難する電話につい
ても、「控訴人の気持ちを逆なでするものであったとしても…不法行為を構成するものとまでは認めがたい」とした。
判決後の報告集会でHさんは「残念だが、差別発言自体は事実と認めた。この抜本的な責任はどこにあるか、負けないでがんばっていく」と決意をのべた。また赤井中執は「司法での闘いは決着したが、法務省、自衛隊などへの闘いはまだ
残っている。この闘いをつぎへのステップとし、真相解明に向かいたい」と今後の闘いの方向を示した。
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