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部落問題資料室
NEWS & 主張
部落解放運動の再構築と再生へ
謝罪し組織改革委
飛鳥会等事件真相報告集会
信頼回復に全力
「解放新聞」(2006.09.25-2287)
 【大阪支局】部落解放運動の信頼の再構築と再生にむけて「飛鳥会等事件」真相報告集会を9月9日、エルおおさかでひらき、府連47支部、全国各地の同盟員、企業、宗教、労働組合などから800人が参加。府連の「総括と見解」を公表し、不正を見破れず是正できなかった府連の責任を重大に受け止めるとともに、事件の再発防止にとどまらず、信頼回復に向けて▽組織からの暴力団の徹底した排除▽外部の有識者を入れた組織改革検証要を設置することなど今後の方向を示した。
 集会では冒頭、松岡徹・大阪府連委員長があいさつし「水平社の創立以来、差別に苦しむ全国の仲間の思いを体現する社会正義の闘いとの自負のもとに部落解放運動をすすめてきた。今回の事件はこうした多くの先輩たちの苦しい運動や、今それぞれの地でがんばっている仲間の努力を踏みにじるもの」とし、「組織のなかから犯罪者を生んでしまった。見抜くこと、防止することのできなかった弱きを痛感し、多くのみなさんにご心配、ご迷惑をおかけしたことを心から謝罪する」とのべた。
 一方で大阪市が事件を契機にすべての同和行政を廃止するかのような動きを見せていることについて「解放が目的であり、事業はあくまでも手段という立場で府連は10数年前から改革の方向を打ち出し大阪市と議論してきた。まるでそのことがなかったかのような対応は、同和問題の解決に背を向けた無責任な態度であるといわざるを得ない」と批判し、組織をあげて闘うとの姿勢を示した。
 「総括と見解」は次号掲載の予定。

心から謝罪、信頼回復に全力
暴力団を排除、組織改革委を創設
大阪府連
改革、刷新、新たな前進へ
「飛鳥会等事件」真相報告集会で

多くの努力踏みにじるもの

 各界からのアピールではまず飛鳥支部の小島伸豊・書記長が「6月の支部大会以降、新しい執行部で改革をすすめてきた。一つひとつ壁を乗り越えて全国の同盟員、部落大衆の信頼を得るために最大限の努力をしていきたい」と決意をのべた。
 大阪同和・人権問題企業連絡会の小頭芳明・理事長は「同和問題にとりくむ企業のなかでも逆風が起こっている。これを払拭するのは大変なこと。支部、府連、中央がより意思疎通を強化して、改革をすすめてほしい」と求めた。
 共闘の立場からは障害者の自立と完全参加をめざす大阪連絡会議の楠敏雄・議長が「行き過ぎ、誤りを常に点検する作業がなければ、自信が過信になる。差別にたいする怒り、差別や不平等を許さない論理、それを変える戦略と政策の視点で常に点検しなければ展望はない」と強調した。
 安中支部の佐伯智津子・支部長は先に逮捕された丸尾勇・支部相談役が91年当時、支部相談役になった経緯を説明。事件に関わって支部名義の領収書が書かれたとの一部報道について、「事実ならば私が告訴する。私たちはいっさい不正にかかわっていない」とのべた。
 鶴原支部の川崎一博・特別執行委員は鶴原支部の前支部長が暴力団と結託し、不正をはたらいていた事件へのとりくみを振り返り、「この事件を教訓に暴力のないまちづくりにとりくみ、暴力団追放連動の段階に入っている」とのべた。
 最後に飛鳥支部の東方則子・副支部長が「(解放運動への)信頼を無くしたことをおわびします」と声を詰まらせながら、「小さな場所から新しい支部がスタートした。多くの仲間に支えてもらい本当にありがたかった。部落差別がある限り、運動をやっていかなあかんという思いで、毎一歩、半歩すすんでいく」と決意をにじませた。

偏見を増幅させたメディア

 北口末広・書記長が府連の総括と見解を発表。事件は小西氏が支部長の「肩書き」暴力団関係者としての圧力を背景に、不当な利益供与を要求し、それに大阪市が屈し続けたものであること。その行為は、部落解放連動を隠れみのにしていたといわざるを得ず、そのことを見破れず是正できなかった府連の指導責任は重大であるとした。
 一方で同和問題の解決をめざす同和行政と飛鳥会事件とはいっさい無関係であるにもかかわらず、大阪市が同和行政そのものが事件を生み出した温床であるかのような説明をおこない責任を同和行政にすり替えてきたことを批判。
 さらにメディアも大阪市の説明をうのみにし、事件の背景に「事実上の同和行政」があるとの誤った報道を流し、予断と偏見にもとづく取材・報道によって被差別部落や同和行政にたいするマイナスイメージ、偏見を増幅させたと厳しく批判した。
 今後の方向として▽暴力団およびその力を背景にするものの徹底した排除▽組織の内外を問わずエセ同和行為の根絶に着手する▽行政との新たな関係の構築▽情報の全面公開による「市民的合意」へ▽10、11月を組織改革強化月間としてとりくむ▽行政依存体質の克服へ「組織改革検証委」の創設、などをあげ、組織の信頼回復、再生に向けて全力でとりくむ姿勢を示した。
 最後に南田敬・府連青年部長が府連の「決意」(別掲)を読み上げ閉会した。

「人権確立社会」実現へ総力あげることが使命
部落放運動信頼の再構築と再生にむけた決意
 大阪府連は今回の「飛鳥会等事件」の問題を深刻かつ厳粛に受けとめている。全国水平社以来の歴史と伝統をもち、日本の人権運動のさきがけと自負してきた部落解放同盟最大の不詳事であり、痛恨の極みである。
 関係各位はもちろん、すべての市民に対して心から謝罪するとともに、再発防止と信頼回復へ死力を尽くして取り組むことを誓う。また、全同盟員に対しては、組織の改革・断行による再出発へ団結、前進を訴える。
 「問題を起こした組織なり、企業は当然批判されるが、いちばん大切なことは問題にどう真撃に対応したかである」と言われる。昨今、企業による不祥事が相次いで発覚しているが、社会から強く指弾されたのは、事件そのものと同時に発覚後の対応だった。
 大阪府連も、この事件の原因・背景を徹底的に明らかにすること、その分析に基づいて事件再発を防ぐ手だて、具体的な課題を明確にすること、その上にたって諸課題を実行していくことが求められている。
 私たちは、この事件に大きな怒りを覚えるとともに非常な衝撃を受けた。その怒りと衝撃を改革、刷新、新たな前進へと発展させていこう。
 「飛鳥会等事件」によって、部落解放同盟に対する社会の信頼は大きく崩れた。「地に墜ちた」感すらある。それをどう立て直し、信頼を回復していくかは大阪府連の対応にかかっている。このことを全同盟員一人ひとりが強く認識することが重要である。全国水平社創立以来、部落解放同盟が幾多の困難や弾圧を乗り越えてこられたのは、差別撤廃にかける熱い思いと部落内外の人びとの支持があったからだ。支持や信頼を失えば、部落解放同盟は消滅の危機に陥る。
 多くの人から支持されるためには、組織の健全化はもとより一切の差別反対・人権確立という大命題に向かって前進していくことが必要不可欠である。
 本集会では、まだ事件に対する謝罪と反省、原因の分析、大阪府連の運動と組織の再生への決意を明らかにしたにすぎない。
 差別を許さない、人権が守られる社会はすべての人にとって生きやすい社会である。「人権確立社会」の実現に向かって総力をあげることこそが使命である。そこに同盟の信頼回復と再生の道があることを胸に刻みたい。
 そして、信頼の再構築と再生へ(1)暴力団及びその力を背景にする者の徹底した排除(2)組織内外を問わずエセ同和行為の根絶への着手(3)行政との新たな関係の構築、情報の全面公開による「市民的合意」(4)10月、11月を組織改革強化月間として取り組む(5)「大阪府連組織改革検証委員会」の創設、に不退転の決意で取り組むものである。

2006年9月9日
部落解放同盟
大阪府連合会

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