1
狭山事件で最大の物証は脅迫状である。脅迫状は事件の発端であり、犯人の残した争いのない唯一の証拠物である。有罪確定判決も脅迫状を証拠の主軸としている。
弁護団は、第3次再審請求で、筆跡が異なるとする鑑定書、当時の石川さんが非識字者であり、脅迫状を書けなかったことを明らかにする意見書、脅迫状・封筒を書いた筆記用具が自白と食い違っていることを示す鑑定書などの新証拠を提出している。石川さんを有罪とした最大の物証である脅迫状が石川さんと結びつかないことを新証拠によって明らかにしているのである。
第3次再審の闘いで、石川さんの無実をアピールする最大のポイントは石川さんは脅迫状を書いていないという点である。
①脅迫状と石川さん雀跡が違う②当時の石川さんは脅迫状が書けなかった③ボールペンで書いたとされた封筒は万年筆で書かれていた④脅迫状にも封筒にも石川さんの指紋がない、という点をわかりやすく訴え、「新証拠で判明/ 有罪の物証=脅迫状は石川さんが書いたものではない/」を広くアピールし、脅迫状にかかわる鑑定人の尋問を求めよう。
2
第3次再審申し立てを受けて、7月から東京高裁に事実調べと再審開始を求める100万人署名運動がはじまった。狭山事件の再審を求める市民の会(代表・庭山英雄弁護士)が中心になって、署名よびかけ人をつのったところ、作家の赤川次郎さん、辻井喬さんやジャーナリストの鳥越俊太郎さん、漫画家のやくみつるさんらも加わり、前回の署名よりもさらによびかけ人が増えている。市民運動の積み重ね、弁護団の活動を受けて、石川さんの無実と事実調べー再審開始を求める声は着果に広がっていることを示している。各界に狭山事件の再審を求める声が広がっていることを、ぜひ市民にアピールし、署名運動に全力でとりくんでほしい。
10.31の前後には署名運動強化期間として、各地で街頭での宣伝・署名活動も積極的にとりくまれた。10月31日の市民集会後におこなわれた都内一斉署名活動でも、多くの市民から署名が寄せられた。狭山パネルやカモイの模型を展示したり、石坂啓さんの狭山シンボルマーク入りの横断幕を使うなど工夫もされている。集会を開催して署名をよびかけるだけでなく、人権フェスティバルなどさまざまなイベントで署名活動をおこなうといったとりくみも積極的におこなわれている。
10月末までに全国から寄せられた署名は50万筆をこえた。目標は100万人である。なんとしても、第3次再審請求から1年を迎える来年5月までに100万人署各を達成しよう。全国の職場、地域、街頭で署名活動をおこない、1人でも多くの市民に訴えてほしい。
3
弁護団は、東京高検に証拠開示請求書を提出し、近く担当検察官と交渉することにしている。東京高検に「積み上げれば2~3メートル」という膨大な証拠が存在し、証拠リストもあることを検察官も認めている。
弁護団は、今回提出した証拠開示請求書で、22項目の証拠を具体的にあげて、開示請求の理由もつけて、証拠開示を請求している。一昨年の司法改革で改正された新刑訴法でも、争点となっている論点にかかわる証拠、弁護側の主張・立証に関連する証拠の開示請求に検察官は基本的に応じるとされており、検察官による証拠開示を拡充するということが司法改革のなかでいわれたはずである。
東京高検は、手もち証拠をきちっと調べ、狭山弁護団の証拠開示請求に公正・公平に応じなければならない。
弁護団の証拠開示のとりくみを支援し、東京高検に証拠開示を求める要請ハガキを送ろう。裁判員制度導入に向けて、弁護側への証拠開示を保障する証拠開示の公正なルール化をさらに求めていこう。
4
第3次再審請求の審理を担当する東京高裁第4刑事部の裁判長が、仙波裁判長から大野市太郎裁判長に交代した。弁護団は、来年3月末にも新証拠、補充書を提出し、大野裁判長に事実調べを強く求めていくことにしている。
そのために弁護団は会議を積み重ね、あらたに加わった弁護士もそれぞれが分担しながら、新証拠の準備、補充書の検討をすすめている。弁護団のこうした活動を物心両面でささえるのも、大衆的な狭山闘争の力である。
第3次再審請求の内容・新証拠についての学習会も各地で多くとりくまれている。『第3次再審請求書』『まんが狭山事件』『狭山事件一問一答』などの本も発行されており、狭山パンフ、解放新聞とあわせて活用し、学習・教宣活動をすすめてほしい。
1人でも多くの市民に43年目の真実を伝え、地域から石川無実・狭山再審の世論をさらに大きくしていこう。新100万人署名に全力でとりくもう。第3次再審でかならず事実調べと証拠開示を実現しよう。
「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)