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福岡連隊爆破陰謀事件デッチあげで松本治一郎委員長(当時)はじめ10数人が逮捕されたのは、ちょうど60年前の11月12日だった。
当時、水平社同人だった井元麟之さんが同年1月、福岡連隊に入営し、あまりに露骨な部落差別発言の数かずに耐えかね、部落出身兵士の横の連絡組織、「兵卒同盟」をつくり、連隊内で繰り返される部落差別発言などを福岡水平社に連絡したことから始まる。連絡を受けた水平社は、連隊に抗議し、連隊内での差別事件を調査した。
さまざまなとりくみのあと、最終的に全九州水平社と連隊側は、講演会をひらくなどで合意し、事件は解決したかに見えた。ところが、連帯側は陸軍の意向を受け、一方的に約束を反故にし、爆破陰謀事件をデッチあげたのである。
この記事が解禁となったのが、予審が終わった翌年の2月18日だった。当時、商業新聞は警察側のデッチあげた内容にそった号外を発行し、大だい的に報道した。もちろん、証拠とされたものは、当時の裁判のなかですら否定された。しかし、訂正記事が出されることもなく終わった。
この号外にたいし、2月18日付で号外、3月25日付で特集を『水平新聞』(全国水平社機関紙)と『水平月報』(全九州水平社機関紙)が組み、直ちに反撃を開始した。
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ながながと福岡連隊爆破陰謀事件デッチあげのことを書いたのは、機関紙が果たす役割を知ってもらうためだ。
軍部によるファッショ化の流れを断とうとしたこの闘いの真相と本質を機関紙が暴きつづけたのだ。
全国水平社創立に参画し、中央統制委員長を務めた米田富さんは、戦前、『水平新聞』の編集・発行にかかわっており、機関紙をもち、発行をつづけることの大切さと、一字も誤植のないように、細心の注意をはらいながら校正したことを語ったことがある。
中央機関紙『解放新聞』も、こうした歴史と伝統を引き継ぎながら、現在も発行をつづけている。各都府県連からも機関紙が発行されている。しかし、率直にいって、中央版の部数減という現状と、定期発行している支局が16都府県連にとどまっている現状は、機関紙・教宣・広報の活動が弱体化している、と指摘せざるを得ない。
商業新聞のインタビューに答えて、森元首相は来年の参議院選挙での争点は、「日教組、自治労を壊滅できるかどうか」と公言した。
この発言の真意は、人権・平和・環境・民主主義を掲げ、改憲に反対する潮流としてある日教組、自治労、部落解放同盟などをマスメディアも使って「壊滅」する、ということである。
こういうときにこそ、機関紙・教宣体制を確立し、強化していくことが重要になるのである。
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戦前、マスメディアが中国への侵略行為を繰り返す陸軍の尻をたたき、国民を戦争へと導いていったことが、歴史家から指摘されている。敗戦後のマスメディアは、こうしたことへの反省のうえに、新たな歩みをはじめたはずだ。
ところが、最近の動きは、NHK短波放送への「北朝鮮による拉致問題」を重点的に取りあげるように、政府が放送命令を出すところまですすんでいる。にもかかわらず、商業新聞などでの批判のトーンは弱いものになっている。
マスメディアへの国家統制の動きは、急激に高まっているのである。
だからこそ、私たちは自前の機関紙『解放新聞』をはじめ、さまざまなメディアをもち、機関紙・教宣・広報活動を展開することが重要になるのである。この間の不祥事にたいしても、組織の総点検・改革運動などを通じて、真摯に反省し、総括し、社会的信頼の再構築へ努力を重ねている姿を示していこう。
機関紙活動こそ、この中心であり、配布・集金・拡大・活用こそ活動の基本なのだ。とりわけ、この時期、機関紙の拡大を軸に、活動を積極的に展開しよう。
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