【滋賀支局】M社による同和地区問い合わせ差別事件(2283号既報)の真相報告学習会を11月24日、彦根市内でひらき、県連をはじめ企業や行政関係者ら400人が参加し、学習を深めた。この日の学習会は、東京に本社のある人材派遣会社・M社が05年5月、「彦根市で被差別地域があると思うのですが、その場所を教えてもらえないか」と彦根市役所に問い合わせた差別事件の集約としてひらかれたもの。事件では、規制緩和のなかで誕生した人材派遣業という新しい業態の企業啓発の問題点が明らかになり、従来の企業啓発の総括とあらたな課題に向けたとりくみが求められた。
新業態の企業への啓発課題が表面化
学習会では、県連から学習要綱をつぎのように示した。今回の差別事件は、規制緩和で生まれた人材派遣業者によって発生した。それは、社会的差別につながる個人情報の収集の禁止や統一応募用紙の使用などが大臣指針によって位置づけられたが、公正採用選考・人権啓発推進員は位置づけられなかった。そのため、人材派遣業者が厚生労働省・労働局からの許認可を受けるときに公正採用選考・人権啓発推進員の設置が義務づけられなかった。
人材派遣業者は、大部分が従業員100人未満の業者で占められ、今回、差別問い合わせをしたM社も正社員は22人、契約社員51人、稼働社員527人の会社で従業員100人未満のため、公正採用選考・人権啓発推進員の設置について労働局・公共職業安定所から一度も指導を受けてないことが判明した。また、労働者派遣法で義務づけられている派遣元責任者講習でも部落問題や就職差別撤廃に向けたとりくみの研修などが位置づけられていないことも明らかになった。
差別問い合わせをおこなったM社は、①公正採用選考・人権啓発推進員を設置する②「推進員」を中心に社内研修を推進する③新入社員にたいしては入社後1週間以内に人権教育を推進していく④社内での採用統一基準を策定すること、の4点を確認した。
滋賀労働局は、「この事件を厳しく受けとめている」とし、①労働派遣法により選任が義務づけられている派遣元責任者講習の講義科目の「個人情報の保護の取り扱いに係る労働者派遣法の遵守と公正な採用選考の推進について」の内容が盛り込まれたこと②公正採用選考・人権啓発推進員・企業内同和問題研修窓口担当者の設置でも需給調整事業担当部内や市町行政と連携してとりくむことが報告された。
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