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1965年の「内閣同和対策審議会答申」は、「同和行政は、過渡的な特殊行政でもなければ、行政外の行政でもない。部落差別が現存するかぎりこの行政は積極的に推進されなければならない」と明記し、1996年の「地域改善対策協議会意見具申」でも、この答申を再確認した上で、「教育、就労、産業等のなお残された課題については、その解決のため、工夫を一般対策に加えつつ対応するという基本姿勢に立つべきである」とした。さらに「特別対策の終了、すなわち一般対策への移行が同和問題の早期解決を目指すとりくみの放棄を意味するものではない」と明確にのべている。2
また、私たちに大きな責任があるとはいえ、昨年ほど部落問題がメディアで取り上げられた年はない。それもそのほとんどがマイナスイメージを増幅する報道内容である。被差別部落への偏見や差別意識が不当に一般化され、視聴者や読者の偏見が増幅している。これらを早急に是正しなければ確実に部落差別意識は強まり、これまでの部落解放運動や人権教育・啓発の成果を大きく損なう。3
このような状況のなかで、第21回人権啓発研究集会が2月8、9日に和歌山県白浜町で開催される。集会内容もタイムリーなものが多く、人権教育・啓発のとりくみを強化する重要な機会としたい。4
そのためにも①全省庁にたいして、それぞれの職員研修も含めた人権教育・啓発を推進するための計画策定②人権とのかかわりの探い特定職業従事者にたいする人権教育・啓発を強力に推進していくためのカリキュラムやテキストの策定を含む計画の策定③すべての自治体にたいし、人権教育・啓発を推進していくための体制の整備と計画の策定④幼稚園や保育所、小学校、中学校、高等学校、大学、大学院などすべての教育機関で、学習指導要領やカリキュラムへの位置づけを含めた人権教育・啓発の推進⑤民間の企業、農協や漁協、PTAや各種団体などで、人権教育・啓発を推進していくための体制の整備と計画の策定⑥隣保館や公民館などを拡充し、地域に密着した人権教育・啓発センターを整備するとともに、各方面で人権教育・啓発を推進していくためのリーダーの養成⑦人権教育・啓発の推進に関わるNGOやNPOにたいする積極的な支援などを求めていくことで、今日の逆風を跳ね返していくことを訴えたい。「解放新聞」購読の申し込み先
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