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部落問題資料室
NEWS & 主張
うさ晴らしで
2日続けて「ちょうりっぺ」と
さいたま市で飲酒し差別発言
「解放新聞」(2007.04.02-2313)
 【埼玉支局】県連は、4本指を出し「ちょうりっぺ」と、さいたま市の男性Fが2日続けて発言した岩槻差別事件(別項)の事実確認会を2月10日、蓮田市役所でひらいた。差別発言をしたFは、「うさ晴らしにいった」と動機を語った。

事実確認会で発言を認める

 事件は、1月19、20日の両日、さいたま市岩槻区の部落解放同盟岩槻支部長・桑原雅吉さんが経営する雑貨店で起きた。酒を買い飲みにきた蓮田市黒浜のFが、「○○(店名)はちょうりっぺだ」「この村はちょうりぺだ」と発言、とがめられたFは、こんどは4本指を出して再び「ちょうりっぺ」と差別発言をしたもの。
 事実確認会には、片岡明幸・県連委員長や水島輝彦・埼葛郡市協議会議長ら6人が参加、蓮田市からは、差別発言をしたFと市の杉山初男・総務部長ら関係職員7人が出席した。
 事実確認会では、なぜ、そのような発言をしたのか、また、部落問題についてどのような認識をもっていたのか、などの質問が続いた。
 Fは、発言の事実は素直に認めたものの、発言の動機については「酒を飲んでいたのでよく覚えていない」とか、「発言はしたが、意味は知らなかった」などと無責任な答弁をくり返した。しかし、最終的には、「弟と金の話でケンカした。面白くなかったので、うさ晴らしにいった」「家族とケ
ンカして頭にきたので、八つ当たりした」などの理由を語った。
 その後の調査で、Fは最近、家業の塗装職の仕事をまじめにしないので家人が家で酒を飲むことを禁止、自宅で酒が飲めなくなっていた。そのため、この日は行きつけの飲み屋にいったが、誰もいなかったので昔なじみだった雑貨店に向かったというもの。
 またFは部落問題について、「同和の話は17歳のころ聞いた」「おっかないところだ。近寄らないほうがよい、と聞いていた」と語り、「これまで4本指を出している者を2、3人見たことがある」とのべた。またFは、「同和問題で一度も研修を受けたことがないし、市の広報は見たことがない」と話した。

岩槻差別事件の概要
 1月19日午後6時過ぎ、さいたま市岩槻区の部落解放同盟岩槻支部長・桑原雅吉さんが経営する雑貨店に、蓮田市在住のF(男・58歳)がきて酒を買って飲み始めた。
 すでにどこかで飲んできているようすで、入ってくるなり店番をしていた支部長のつれあいに「婆あ、まだ生きていやがったのか」といって絡んできた(Fは、前日も店にきたが、そのときは子どものお菓子を買っただけだった。Fは、以前はよく酒を買いにきていたが、この3、4年ほどは顔を見せていなかった)。話のようすでは、自宅で酒を飲ませてもらえないので飲みにきたということだった。
 Fは、奥さんにグズグズと絡んだうえに、近くの被差別部落に住む飲み友だちの悪口をいいはじめ「前に飲ませたのに、俺にはちっともおごらない。この辺の連中は、まったく汚いやつが多い」などと悪態をついた。そして帰り際に出口で4本指を出して「ここはこれだから」と捨て台詞を残して帰った。妻は、酔客のことだからと、このことは誰にも話さなかった。
 つぎの晩(1月20日)も店にあらわれ、このときもすでに飲んでいるようすで、昨晩と同じように絡みはじめた。
 この日は支部長がおり、話し声を聞いて裏から店に出て「毎度どうも」と声をかけた。ところがFは、支部長のほうに歩み寄って「○○(店名)はちょうりっペだ」「この村もちょうりっぺだ」と発言した。
 驚いた支部長が「これは聞きつけないことを聞いた。どういう意味だね」と尋ねると、Fは4本指を出して「ちょうりっぺ」と再び発言した。憤慨した支部長が「その意味は何だ。役所に電話して問い合わせるから、今の発言をここに書いてもらおう」というと、Fは逃げだそうとした。しかし、つれあいが「逃げてもだめだ。家は知っているから」ととがめると、Fは観念したように店に戻り、支部長が出したメモ用紙に発言内容と住所・名前を記入した。

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