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部落問題資料室
NEWS & 主張
主導権を市民が握ろう
施行60周年でシンポ
護憲集会
「解放新聞」(2007.05.21-2319)

 日本国憲法施行60周年の5月3日、「憲法を国民の手に」を掲げ、日本教育会館でシンポジウムをひらき、850人が参加した。「欧州憲法条約」に尽力しているグリン・フォード・欧州議会議員から、第2次世界大戦を反省し「不戦共
同体」を創ったEU(欧州連合)の経験を学び、バネルディスカッションで日本の闘いの方向を探った。
 フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)と市民版憲法調査会の主催。
 フォードさんは、27か国に拡大したEUをより効率的・民主的にする「欧州憲法条約」の意義や策定経過、共通外交・安全保障政策(CFSP)の考え方などを説き、日本政府の憲法改定への国民投票の動向について「議論がごく一部の政治家に乗っ取られる危険性がかなりある」「不安を煽り、議論をかりたてている」と指摘。世界、東アジアに占める日本の役割を見据えた市民が主導権を握る大切さを説いた。「日本はEC(欧州共同体)のようなアジアコミュニティを設立する動きをはじめることができるのではないか。太平洋の向こう側(米国)よりは、みずからの足元をしっかり見据える必要がある」とのべた。
 9条が、「改定されれば、日本は米国の軍事的な安全保障に組み込まれ、東アジアの軍拡競争の引き金を引き、東アジアの不利益につながりかねない」と指摘した。

EUの経験に学ぶ
憲法を東アジアの財産に

 日本国憲法施行60周年シンポジウムでは、フォードさんの基調講演を受け、法政大学法学部教授の五十嵐敬喜さん(「市民版憲法調査会」世話人)が、日本の進路をEUの経験に学ぶ大切さを説き、「戦争を防ぐ最大のものは国境をなくすこと。国境を挟んで敵対する国の関係が戦争を生む」と指摘。統一自治体選挙の投票結果などを分析し、「世論調査でも「9条を変えよう」は明らかにごく少数。なのに安倍首相や石原都知事を支持する投票であり、自分の考えと投票行動がまったく違う「おまかせ民主主義」を克服せねば一挙に足元をすくわれる」と、7月の参院選をはじめ、今後の運動展開への提起をおこなった。
 パネルディスカッションでは、「市民版憲法調査会」世話人の高野孟さんを司会に、朝日新聞の高成田享・論説委員、民主党の菅直人・代表代行(衆院議員)、社会民主党の辻元清美・党「憲法調査特別委員会」委員(衆院議員)が、集団的自衛権、憲法改定―国民投票をめぐる考え方などを出し合い、主権在民の確立、あるべき日本の将来に向けた闘いの展望を語った。
 平和フォーラムの江橋崇・代表(法政大学教授)は、「集団的自衛権が認められたら、日本がそれを使って海外で活動するのもたいへん危険で恐いが、米国との約束はもっとすごい。自衛隊のミサイルを米国が撃ち、あとになって「あれは日本が撃った」と集団的自衛権を言い訳に使う。米軍にフリーハンドを与える意味で、まさに安倍首相は「売国奴」」と指摘。「東アジア諸国の人びととともに日本の憲法問題を考えたい。先行き、日本にいい憲法があることは、東アジアの平和と人権と民主にとって共通の財産だといってもらえるように憲法を磨き直したい」と語った。
 喜納昌吉さん(参院議員)が「花~すべての人の心に花を」などを熱唱した。

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