pagetop
部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

就職差別撤廃へ職安法・大臣指針の
周知徹底と点検活動を強化しよう
「解放新聞」(2007.06.25-2324)

 この間の行政書士による戸籍謄本等大量不正取得事件、「部落地名総鑑」の新たな発覚、「電子版・部落地名総鑑」の発覚とあいつぐ事態は、部落差別が今なお深刻であり、結婚や就職での差別身元調査があとをたたないことを示している。
 これらをふまえ、就職差別についていえば、「統一応募用紙」や「推進員」のとりくみ強化が求められるとともに、就職差別を禁止する法整備を急がなければならない。
 「部落地名総鑑」差別事件など深刻な就職差別の実態をふまえて1977年にはじまった企業内同和問題啓発推進員制度は、1996年に名称を変え現在にいたっている。名称が公正採用選考人権啓発髄進員になると同時に、それまで同和対策事業が実施されていないという理由で除外されていた北海道・東北6県・富山・石川・沖縄の10道県にも設置が始まった。昨年度の設置率では、10道県も9割程度と他府県にやっと追いついてきたが、文字通り全国的なとりくみとして定着させていかなければならない。
 また、「推進員」が設置されていてもハローワークの研修に参加していなかったり、違反質問をしている企業が少なからず存在する。その意味で、「推進員」の実効性を高めるとりくみが問われている。

 「推進員」のとりくみとセットともいえる「統一応募用紙」のとりくみは、「職業安定法第5条の4」および「大臣指針」によって1999年に法的に裏付けられた。
 しかし、違反事象は減らず、年間800件ほどで推移してきた。そして、ハローワークと学校の連携強化を促したところ、05年度は1000件をこえた。またここ数年、自治体での違反事象が数多く発見され、これらを点検するシステムの弱きが露呈している。
 これまで多くの都府県で、高等学校を中心に「受験報告書」による点検がとりくまれている。それぞれ様式なども違うが、提出書類の違反や面接での違反質問などがおこなわれないようチェックするようになっている。大阪府内の大学では、新規大学卒業者について「受験報告書」がとりくまれている。点検がまったくなされていない道県もある現状を放置してはならず、「推進員」の実効性を高めるとともに、「受験報告書」など点検システムの全国化が必要だ。
 職安法と指針という法的裏づけができたことをふまえ、それを遵守していくシステム整備を求めていこう。

 この間の就職差別撤廃のとりくみは、部落差別のみならず、さまざまな家庭環境や困難をかかえた人びとにたいする差別、労働組合活動や市民運動など思想信条や宗教による差別などを防止することに役立ってきた。
 このとりくみの意義を広くアピールし、さらに広範な人びとの課題として、共同闘争として強化していくことが大切だ。そして、就職差別を禁止する法整備の実現へ世論を高めていこう。

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)