第3回部落解放運動に対する提言委員会(上田正昭・座長)を6月21日午後、京都市内の京都会館でひらいた。今回は、元全同数委員長の寺澤亮一さん、元テレビ朝日審査局長の丹羽俊夫さん、筑波大学教授の菱山謙二さんがプレゼンテーションをおこない、その後討議し、今後の予定などを決めた。
3委員が提起
プレゼンテーションのなかで寺澤さんは、部落解放運動は期待・好感・参画の絶頂期を形成したが、しだいに幻滅・倦怠感が内外で生み出されてきたのではないかとし、それが一連の不祥事で内に脱退者を生み、外に同和問題はうっとうしい問題としていく意識を増幅させた▽生活要求を自立向上へ組織できず、行政交渉に依存してきた嫌いはなかったか▽解放運動の力点を対外から対内へ展開し切れたのかと問い、解放運動の達成は何をめどとするのか、人権運動として続けるなら現状でいいのか、など11点の論点を提起した。
丹羽さんは、不祥事の根は深くないのかとし、「甘えの構造・相互依存関係」の温床になっていないか▽今回の不祥事でのマスコミの後輩の意見は、10数年前の答えと同じく、抗議・糾弾は納得できない、表現における言葉の規制は納得できない、運動団体は恐ろしいし煩わしい、というものだった、などさまざまな課題を指摘したうえで、部落解放同盟は自己権力の拡大のためにでなく、自己使命達成のために、全国民をよき理解者、味方にする王道を邁進してもらいたい、と結んだ。
菱山さんは、みずからが経験したさまざまなとりくみから、自由な論議の場の確保▽部落内外の相互の交流の重要性▽過去の運動展開での強圧性・独善性というイメージがあまりに強く持続している▽今の状況は組織の内部認識をこえて、すべてが法によって基準化される時代になっている▽既得権益にしがみつくというイメージがあまりにも強くなっている、などの点を指摘。倫理規定の構築、人権や同和問題の解決についての現代的意味・意義の再構築と組織内部での学習会をおこなう、など25点の課題をのべた。
その後これらの提起をもとに論議し、第4回目(8月)ですべての委員からのプレゼンテーションを終え、その後、小委員会をたちあげて提言委員会として論議する事項案をまとめ、それをもとに集中的に論議し、年内には確実に提言をまとめる、という方向を確認した。
第3回提言委員会には、上田座長はじめ10委員が、中央本部からは組坂委員長、大野副委員長、谷元、西島の両書記次長が、また友永健三・部落解放・人権研究所所長も出席した。
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