【埼玉支局】一昨年発生した行政書士の戸籍謄本等不正取得事件は、現在もひそかにおこなわれている身元調査の実態を浮き彫りにし、行政書士会など8仕業会は事件の反省からいっせいに研修を開催、4月27日には戸籍法が改正され、本人・配偶者以外の第3者請求にきびしい要件を設けた。しかし、6月8日、毎日新聞が県内の土地家屋調査士による戸籍謄本不正取得を大きく報道した。
県が調査した結果、つぎのような事実が判明した。
不正取得したのは、比企郡小川町のK土地家屋調査士(76歳)。K調査士は行政書士の資格も持ち、今年5月までは埼玉県行政書士会の相談役を努め、01年から03年までは同会副会長であった。Kは、06年12月に土地家屋調査士会が発行する「職務上請求書」を使って、自身が所属する行政書士会東松山支部のA行政書士の個人情報を取得する目的で吉見町役場と狭山市役所に「職務上請求書」3通を提出し、戸籍謄本と住民票を取得した。使用日的欄には「登記」と記載しているだけであった。
部落解放同盟埼玉県連の片岡明幸委員長は「いくら法改正で取り扱いを厳しくしても、これでは、法改正の意味がない。真相を究明し、徹底的な処罰を求めていく」とのべた。
違反行為は容認できない
不正取得で監督官庁に訴える
Kは、埼玉県行政書司会東山支部の支部長を1995年から4期8年務めたが、Kの支部運営に批判が出て2003年の改選時にAさんが立候補、選挙の結果Aさんが支部長に選ばれた。それ以来、KはことあるごとにAさんと対立し、その後の支部長改選時にはAさんを中傷するビラが配られることもあった。
今年の2月、Kがプライベートな情報を知っていたことに驚いたAさんは、「私を誹誇するために、もしかして戸籍謄本を取得し、あら探しをしているのでは」と疑問を抱き、本籍地と現住所のある狭山市と吉見町に情報公開請求をした。その結果、Aさんの知らない間に、Kが土地家屋調査士会の発行した「職務上請求書」を使用し、Aさんの戸籍や住民票を不正に取得していたことが判明した。
この行動に憤ったAさんは、「今後このような違法を続けるならば法的手段をとります」と情報公開請求書をつけてKにファックスを送信し、警告した。しかし、Kが反省の態度を示さなかったことから、3月に土地家屋調査士会を監督するさいたま地方法務局に出向き、Kの違法行為の調査と法律に基づいた指導を要請した。法務局は、「土地家屋調査士会から事情を聞き、調査の上、報告する」と回答した。
Aさんは、「職務上請求書が問題になっている最中に、このような違反行為をすることは、とうてい容認できないので、監督官庁に訴え出ました」と語った。
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