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05年の総選挙。自民・公明が3分の2以上の議席を占める大勝利で終わった。そのとき、名前の上につけられたバラの花が咲きほこる前にテレビカメラが持ち込まれた。
「怖いのは反動です。嬉しくて冗談の一つもいいたい気分でしょう。大笑いしたい気分でしょう。でも怖いのは、そうした表情は、大勝したとたん、自民党は気が緩んだかと国民には映ります。ここは引き締めてください。謙虚に、謙虚に、責任の重さを痛感していることをアピールしなければだめです」とアドバイスする人物がいた。
テレビに映る自民党幹部は笑わなかった。それを見たキャスターは「硬い表情は責任の重さを痛感しているのだろう」と解説した。活字メディアも「予想以上の大勝利・支持にたいして結果を出さなければという重圧と責任感」と報じた。
これは、自民党によるメディア戦略の勝利の瞬間だった。
テレビをはじめとしたメディアは、このメディア戦略に飛びのった。
郵政民営化に反対かどうか、という分かりやすい二者択一。情報を細切れに出し、連日の報道につなげていく手法。「刺客」についても、一挙に発表せず、1人ひとりの「刺客」に焦点を当てさせていく。落下傘候補である「刺客」の発言も「天竜川を渡って退路を断ちました」「本籍も移しました。この選挙区に骨を埋めます」「ここには嫁ぐつもりでやってきました」などと地元の反発を買わないように作り、語らせた。
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こうした粗略のもとに自民党が大勝したのが、05年の総選挙だった。
今回の参議院選挙でも、自民党はメディア戦略を練り上ようとしているが、あいつぐ大臣の金にまとわりつく不祥事や人権無視発言、年金問題などでうまく立ち回れないようだ。
しかし、中越沖地震を利用して、「余震が続くなか、みずからの危険も顧みず、被災現粉に行き、原子力発電所に行き、救命・救援、復旧・復興に一瞬の猶予もなく乗り出す。安倍首相の国民を思う心、国を思う心は中途半端でない。「選挙に有利か不利かで考えるのではなく、国民のために何をなすべきかを考えよ」。口癖のように安倍さんはいっている」と中川・自民党幹事長は、とくとくと語っている。
まさに「選挙に有利」なように安倍首相の、首相として当然あるべき姿勢を持ち上げ、メディア戦略にしようとしているのが自民党の現状だ。もちろん、こうした現象は、もはや打つ手がない、ということの裏返しでもあるのだが。
ながながと選挙にまつわる話を書いてきたのは、こうしたメディア戦略――それにのるマスメディアの姿勢を、私たちは、まさにメディアリテラシーとして、読み解き、批判する必要があるからだ。機関紙である「解放新聞」は、当然にもこうした役割も担っている。
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私たちの機関紙「解放新聞」が、部落解放同盟――運動の当面の方向を指し示し、各地で奮闘するさまざまな個人・団体の活動を紹介し、同盟員を中心に共同闘争にともにとりくむ人びととの、全国的・世界的な紐帯を作り出す役割を持っていることはいうまでもない。そのうえに、新たな部落解放運動への理論的創造や実践的創造を媒介する役割もある。
今回の参議院選挙でも、機関紙媒体を持っているのかどうかが、厳しく問われることになった。最低、月に1回発行する、みずからの機関紙、「解放新聞・支局版・地協版・支部版」を持とう。そのことが、多くの人に部落解放運動の現状と課題を指し示し、現実の政治・経済・社会の問題点を暴露し、同盟員をとりくみ課題に結集させる力になるのだ。
配布・集金・活用・拡大という4大原則のうえに、それぞれの地域の特色を活用しながら、とりわけ「解放新聞」の拡大をはかっていこう。このことが、同盟員教育を徹底し、運動の拡大・強化、一連の不祥事への信頼回復につながることを自覚しながら、機関紙活動――教宣活動を地域から強化していこう。
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