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部落問題資料室
NEWS & 主張
「人権救済条例」充実へ
鳥取でシンポひらき課題共有
「解放新聞」(2007.08.06-2330)
 【鳥取】シンポジウム「差別や人権侵害に苦しむ人びとを救済する社会システムをめざして――鳥取県人権侵害救済推進及び手絡に関する条例制定の意義と議題」を7月25日午後、鳥取県民文化会館梨花ホールで部落解放同盟鳥取県連がおこない900人が参加。最近の部落差別事件と特徴を報告、シンポジウムで「人権侵害救済条例」の意義と必要性、「県条例」見直し検討委員会での審議経過と論点整理を共有、「県条例」をさらに充実し施行するための課題の整理と提起をおこなった。
  パネリストは、國歳眞臣・鳥取大学名誉教授、丹羽雅雄・弁護士、山田幸夫・部落解放同盟県連書記長、光岡芳晶・NPOすてっぷ理事長で、コーディネーターを友永健三・部落解放・人権研究所所長がつとめた。
  主催者を代表して中田幸雄・県連委員長があいさつし、差別のない社会づくりへの協力を訴え、瀧山親則・県総務部長が来賓あいさつし、お互いの人権が尊重され差別のない社会へ連携したとりくみが必要とよびかけた。
  部落差別の現状と課題を下吉真二・県連書記次長が提起し、シンポジウムへ移った。
  シンポで國歳さんは、見直し検討委での論議の経過や課題を指摘、差別とは何か、差別している人の救済とは何かの議論を深める必要性を強調。
  丹羽さんは、日本社会の差別の現状と国連からの日本への勧告をふまえて「条例」の意義は大きく、実効性・独立性のあるものにするためにも県議会に委員の推薦委員会を設置し、構成メンバーに多元性・専門性を確保し、候補者について公開の聴聞会をもち、当事者、市民の意見を反映させる。3条4項は表現の自由との関係であいまいであり見直しが必要。差別禁止事由はもっと拡大する必要があり、公権力による人権侵害類型をいれ、公権力への強制調査権限が必要。
  山田さんは、差別事象は氷山の一角であり、きめ細かい対応が地域に必要であり、そこに「県条例」の意味がある。差別禁止規定を設けることには賛成で差別は社会悪で犯罪であることが位置づく。差別したことを気づかせることは再発防止にもなる。内心の自由を侵すことなく被害の当事者から学ぶことをめざしていくことが重要と強調。
  光岡さんは障害のある人の地域生活支援の現状を報告し、見直し検討委で「差別があるのか」という議論がおこなわれていることが残念。ノーマライゼーション社会へは差別の根絶が必要で救済機関は必要。「差別はある。いまの仕組みでは解決できない」ということを見直し検討委で確認してほしい。独立性と専門性を担保し、修正し「条例」をつくってほしい。
  友永さんは、自治体レベルで包括的な人権侵害救済のための制度を実現することは先陣を切るとりくみで、人権確立社会を創造していくものであることを示した。

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