第4回提言委員会(座長・上田正昭京都大学名誉教授)を8月2日午後、京都解放センターでひらいた。提言委では、中山武敏・弁護士、住谷茂・元環境省事務次官、松本優男・弁護士等委員が意見表明。その後、今後の方向として、全委員からの意見をテーマごとに集約し、そこで論点整理し、「問題点と課題」を浮かび上がらせる方向でまとめていく▽問題点と課題を具体的にどのように取り込んでこなしていくかは、運動体の主体的な判断と責任の問題▽集約のための討議テーマの設定をおこない、論議をこなしながら論点整理をするために、「小委員会」を設置することを確認した。
論議重ね12月にも提言まとめ
小委員会は、沖浦和光・委員(小委員長)、稲積謙次郎・委員、桜井健雄・委員が、事務局として谷元、西島両書記次長、友永健三・部落解放・人権研究所所長で構成することを決めた。具体的には、8月5日、9月4日の両日に小委員会をひらき、そこでの論点整理などをもとに、9月10日の第5回提言委員会で論議を深めていくこととした。その後も論議を重ねながら、12月はじめには、提言をまとめる予定。
中山さんは、一連の不祥事でこれまで解放運動に心を寄せてくれた人びとの心も離れようとしているのではないかと危倶するとしたうえで、今回の事態はより根本的には部落解放運動、部落解放同盟の存在意義そのものが問われている▽人間解放・人間尊重の思想の確立と実践がなされているかどうかの総括を▽自力・自闘の闘いの確立を▽人間の尊厳を基礎とした真の連帯の運動の実践の必要性を語った。
住谷さんは、現状認識として、「法」失効にともなう同和行政の混乱により、問題解決のための有効な政策が生まれていない▽放置すれば問題はいっそう深刻化する▽人権問題全般に国民の意識は向上しているとはいえない、などの点をあげた。解決の方向として、人権についての正しい認識の確立・普及▽特別対策的手法ではなく、ソーシャルインクルージョンなど、問題解決のための政策の樹立と実施▽部落解放運動に透明性と一般社会に幅広い理解を得ること、などを提起した。
松本さんは、みずからの弁護士としての部落解放運動にかかわった歩みなどをもとに、同対審答申の理念の再検討の必要性▽人権分野での新たな法体系の樹立の必要性▽一連の不祥事にたいしては、部落解放同盟として厳しく対処していくことが必要▽部落差別が社会悪との共通規範意識の形成の不十分さと部落差別への社会的制裁がほとんどなされないという制度的欠陥、などを指摘しながら、国民の人権感覚が国際的に評価されるようになることを期待したい、と結んだ。
提言委には、上田座長はじめ12委員が出席、中央本部からは組坂委員長、大野副委員長、谷元、西島両書記次長、友永健三・部落解放・人権研究所所長が出席した。
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