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部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

第30回全解保・和歌山に
保護者が総結集し
「解放新聞」(2007.09.03-2334)

 9月23日からの3日間、全国解放保育研究集会が和歌山市内でおこなわれる。
  この集会も回を重ねて30回目を迎えることとになるのだが、この節目の年に一つの画期をつくり出していかなければと思っている。西高東低ということがある。より具体にいえばこの集会の参加者がわずか十ほどの府県、それも近畿以西の府県によって、その大半が占められてきたということなのだ。逆にいうと中部・東海・関東地方などからの参加がないに等しいといってよい状況なのだが、かといって近畿以西は万全かというと決してそうではない。30回という節目の年に当たって、次回以降は先に書いた地方のどこかで全国集会がおこなわれるような基盤作りをおこないたいと考えている。

 解放保育運動が始められたのは今からかぞえて、40年前後前のことだろうか。保育所建設の要求がこの運動の産みの親だったともいいうるのだが、この運動の主体は何といっても当時まだ婦人とよばれていた既婚の女性たちだった。母親たちの労働権の保障と子らの教育権の保障、これを二枚看板としていわば燎原の火のごとくに燃え上がったのだが、それがそれで終わらなかったところに、この運動の一大特徴があったとしてよい。
  「仏(保育所)」を作ったからといってそこに魂をいれなければ、何の意味もない。鈴木祥蔵さんを軸に解放保育の実現のための理論構築が、営えいとして続けられもしてきた。皆保育というのが叫ばれたのもそんな中だったが、その皆保育という考え方が今や厚生労働省の公式理論にさえなろうともしている。これもまた、この運動の最大の成果の一つとしてよいはずだ。

 とはいえ、子らの悲惨は止まることを知らない。児童相談所が2006年度に受けた児童虐待件数は、3万7000件余りに達して年ねん「記録」を更新し続けているというし、内の死亡事例は2005年中に50件余りもあったという。これを対岸の火事視してはならない。部落には教育を十分に受けられなかった世代が今なお少なくなく、子育ての仕方すら満足に会得できないで生きてきた人びとも多い。生活の厳しさからDVに走る男たちも、部落では決してめずらしくはなかった。その親から子への連鎖ということもまた考えられなければならない。本研究集会でジェンダー・フリーを重視し続けてきたのもそうした観点からだったが、いずれにせよ保育士まかせの運動は早晩形骸化を免れないであろう。
  最低2000人規模でおこなわれてきたこの研究集会だが、部落側からの保護者の参加がきわめて少ないのも懸念材料の一つだ。自力自闘をいい続けてきた部落解放運動のことでもある。9月末、部落の保護者が大挙して和歌山に結集してくれることを心から願う。

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