【山口支局】「自分は部落の人間だ」と名乗り「婚約者が部落出身者かどうか知りたい」と、3月上旬、県連事務所に山口市の住民から身元調査依頼の電話があった。その後、山口市や関係者とともに事実確認と指導に入るが進展せず、このほど、この事件について中間総括をおこなった。事件の真相糾明や行政指導の限界、市民啓発の不十分さなど、県連は山口市、県と今後の課題ととりくみを確認した。
中問総括、真相糾明へ
事件の概要と経過はつぎのとおり。
今年の3月、山口市の住民から県連事務所に結婚での身元調査依頼の電話があった。
中身は、「自分は部落出身者で今度、息子が結婚する。相手が部落の子かどうか知りたい」。理由は、「部落同士だと問題はないが相手が部落外だと、結婚後に反対にあったり、離婚になったりしたら、ややこしいから」と相手の住所を教えてきた。
県連から、何度か本人に連絡、真意を確認するが信憑性に欠け、その点を指摘すると「友人の息子(部落外)の縁談話だ」と理由が変わった。それなら明らかに差別身元調査であることを指摘すると、「教えてくれないならもういい」と電話を切られた。
その後、山口県、山口市に報告。山口市が本人に、電話すると「知らない」「電話をかけてくるな」と逆ギレされ、本人との接触、市からのアプローチが厳しい状況になった。
再度、県連から連絡すると、「友人も部落出身、相手は部落外で、結婚は破談になった」「その後、友人の息子とは連絡が取れない。もう、そっとしておいてほしい」と話を二転三転させ、これ以上かかわりたくないと逃げた。
本人にたいする指導・事実確認が難航するなか、県連、県、市が、現状の中間総括をおこなった。市は、「事実確認のために市がおこなう調査には大きな限界があったことをふまえると、人権擁護に関する法制度の早期整備が必要」と報告した。
また、今後の市のとりくみとして、市民啓発の強化や「法務局、県などの関係機関との連携の強化」などを確認した。さらに中期的なとりくみとし「山口市長会を通じて人権擁護に関する法制度の早期整備を国会に働きかけていく」ことも確認した。
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