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部落問題資料室
NEWS & 主張
部落解放・人権政策確立を求め富山市、富山県と交渉
本人通知を強く要請
戸籍等不正取得事件で
「解放新聞」(2007.12.03-2347)
 【富山】富山市と富山県との交渉を10月22日午後、それぞれおこない、廃屋問題、戸籍等不正取得事件、実態把握、奨学金、公正採用選考にかかわる受験報告書などの課題で話しあった。交渉には中央本部から西島書記次長らが参加、地元の富山県連、北陸事務所から4人が臨んだ。

市民意識調査の必要性を認める

 富山市とは市役所内会議室で交渉。市からは大上戸良一・市民生活部長ら7人が出席した。
  廃屋問題では、ガラスが割れ、トタン板が風で飛ばされそうな危険な状態にあることを示し、防災上の観点からも早急な対応を要請。だれが所有者で責任があるのかなど、現地へ足を運んで調べ、働きかけていくことを確認した。
  行動計画については、今年度中に原案を策定し、来年度に印刷をと考えていることを示し、市民意識調査についても必要性は認め、予算要求を検討していることを示した。
  三重県の行政書士による戸籍謄本の不正取得は5件。市は「不正取得は事実だがどう使用されたかは不明。本人通知は無用な不安を招くだけなのでしない。(行政書士会への要請は)県から指導されるはず」とまるで他人事。あわてて大上戸部長がひきとり、訂正させていただきますと発言。「本人通知をしている自治体があることは『解放新聞』で知っている」とはいうものの、「県内同じ足踏みでいきたいので研究会の課題にさせてほしい。大きな課題なので国もいつまでもこのままにはできないと思う」との姿勢にとどまった。

受験報告で全票集計の必要示す

 富山県とは県民会館会議室で交渉。県からは廣光俊昭・生活環境文化部次長ら23人が出席した。
  県交渉では、①部落問題の基本認識と部落視察②県人権教育・啓発に関する基本計画具体化と県民意識調査③市町村のとりくみの状況④公正採用選考をめぐる受験報告書のあり方⑤戸籍などの不正取得問題⑥高校奨学金などで姿勢をただした。
  ①では廣光次長は、県民の理解不足解消が重要であるとし、視察は早急に日程調整して実施すると回答。
  ②の意識調査では、「(基本計画)の見直しを前年か当年に実施し、見直しをおこないたい」としつつも、市町村での基本計画策定については、「法的に義務づけられていない。市町村で議論いただくこと。策定しようということになると助言はできる」と消極的姿勢に終始。このなかで市町村には人権教育・啓発の専任者がどこにも置かれていないことも明らかになった。
  ④の受験報告では、マニュアルもなく、学校が「問題あり」とした報告書だけを県教委に提出しているのは北陸では富山県だけであることを今回も指摘。全票集計が必要であることを示しても、かたくなな対応をつづけ、「学校現場の先生から(板ばさみになって)しんどいという声は聞こえない。あがってこなかったものがあることはわかっているが、このケースは子どもの意識が低かったためと思われる」といい切った。
  ⑤の不正取得問題でも、「通知や被害の把握は法律上の義務づけ規定はなく、そこまで必要ない」「情報がどう使われたかわからず、不正使用された可能性があるというだけ」というしまつ。不正使用でなければ不正取得は必要ないとの重ねての指摘にも、「可能性は高い」というだけで、認識不足をさらすばかりだった。
  ⑥の奨学金では、募集枠は100人分で、75人分を実行、うち成績条項なしは11人であることを報告。今年は7月に周知したことも示された。

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