岐阜労働局管内の事案を中心に交渉
内定後の個人情報収集ただす
公正採用選考の形骸指摘
受験報告書の全国化強く求め
厚生労働省交渉(労働関係)を10月30日午後、省内会議室でおこない、原労働対策部長、藤本労働対策副部長はじめ50人が参加。省からは、職業安定局の北條憲一・就労支援室長などが対応した。
今回の交渉では、前回の交渉(5月22日.2325号既報)で明らかになった1部上場企業が、内定後に本籍や家族状況などの個人情報を長年にわたって収集してきた問題などについて、調査結果の分析と課題、背景などの報告を求めるとともに、企業内公正採用選考人権啓発推進員制度の形骸化と位置づけの弱さ、社内研修の不徹底などを指摘。これらの是正・充実とあわせて、職業安定法5条の4=求職者等の個人情報の取扱いで、「人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合への加入状況」などを原則として収集してはならないことが定められていることをふまえ、「受験報告書」を、高校、大学、職安窓口をふくめ全国化にとりくむよう強く求めた。
また、登録型派遣労働者が身上調書などをとられている例を示しながら、提出しないと事実上の就職制限の状態におかれており、強制力をもった対応をするための法整備の必要性も指摘した。
交渉はあらかじめ示した課題項目について省が一括回答をおこない、それぞれについて意見交換をおこなった。
省は、1部上場企業の内定後の情報収集について「受験報告書」が内定後は対象になっていなかったことも把握が遅れた一因とし、「機能するよう、教育委員会と連携をしてとりくみたい」としつつも、「受験報告書」の全国化については、「口頭や文書など各地の実情のうえにこれまで積みあげられた経緯もあり、一律は容易でないが把握は重要で、学校との連携を各地の労働局に通知した」との回答にとどまった。
岐阜労働局でのとりくみについては、「反省しなければならない点がある」とし、最終目標は就職差別をさせないことであり、行政がどこまで関与できるかという問題はあるが、けっして見て見ぬふりはしない。やるべきことはやる。当該企業が「(収集した個人情報を)差別選考などに利用した事実はない」といっているから(今後改善すれば)いい、という簡単なものではないとの認識を示した。
最後に、省として主体性をもち指導することが必要であり、困難な点があれば、他省庁とも連携しとりくむよう要請、省は、法的な問題もあるが、姿勢としてはきちっとしたいということは理解をと応えた。
「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)