「解放新聞」(2008.05.05-2368)
突然の解雇、控訴で即日の職場復帰をたたれた悔しさ訴え
「突然解雇を受け、何が何だか分からなくなり、頭が真っ白になって、何をしていいかわからなかった。精神的、経済的に毎日、苦しい1年だった。(京都市に)信じてもらえなかったことが悔しかった。職場復帰を考えていたが、控訴されてしまった。もう一度がんばっていきますので、よろしくお願いします」免職取り消し裁判真相報告集会 アピール
本日我々は、25年間京都市職員として働いてきた元環境局職員のAさんが、何の落ち度もなく懲戒免職処分となった経緯と事実関係を確認した。処分取り消しを求めた裁判は、3月25日に地裁判決があり、裁判所も京都市に対し処分の取り消しを求めた。我々は、事実無根の横領の嫌疑をかけ予断をもって事情聴取を行い、Aさんの生真面目さにつけ込み、彼を免職処分に追いやった京都市を決して許すことができない。
しかも京都市は、4月8日、裁判所の良識ある判断を受け入れず、控訴した。それは、ただひたすら元の職場で以前のように働き続けたいと願うAさんに、さらに忍従を強いるものであり、家族生活にも多大な苦痛と負担を強いるものである。免職に至らしめ、生活の基盤と未来への希望を奪いつくしたあげく、裁判所に誤りを明確に指摘されてもなおその誤りを認ず、政治的な判断にのみ依拠して控訴を断行した京都市の暴挙は、Aさんの人として生きる権利そのものを踏みにじるものである。
我々はAさんの怒りや悔しさを共有する。彼に対してなされた理不尽な処分は、現業労働者として日々まじめに働く全ての仲間に仕掛けられた攻撃と受け止めざるをえない。我々は、思いこみと偏見と先入観で、安易に職員を処分する京都市行政に抗議する。同和行政批判の名のもとに、部落出身者が多数を占める現業職員を「不祥事予備軍」と決め付け、市民の差別・偏見を煽るマスコミに抗議する。ただ現在の風潮におもねって、処分内容の客観的検証を怠っている議会に抗議する。そして、こうした行政・マスコミ・議会の在り方が部落差別を確実に助長している現状を深く危倶する。
一人ひとりの人権に本当に思いをめぐらし、それを尊重する態度があれば公平で冷静な判断が働くはずである。だが現状においては理性を失った厳罰化が、労働者としての、人間としての誇りを奪っている。我々は、Aさんの裁判闘争を通じてその誇りを取り返し、彼が完全に職場復帰するまで支援し、闘い続けることをここに誓う。
2008年4月23日
集会参加者一同
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